(ブルームバーグ):財務省が11日に実施した20年利付国債入札は強い結果となった。超長期債の需給改善を期待した投資家からの需要が強まり、応札倍率は4.1倍と2020年5月以来の高水準になった。
前回の応札倍率は3.28倍、過去12カ月平均も3.28倍だった。最低落札価格は97円25銭と市場予想(97円10銭)を上回った。小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は3銭と23年以来の低水準。前回は31銭だった。
明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは「事前に買いが入ったが、入札は強い結果になった」と指摘。「金利上昇材料を織り込んで利回りの水準が高かったことや、超長期債の発行減額観測、高市早苗首相の金利上昇を気にする発言などから投資家の買い需要が強まった」と述べた。
新発20年国債の利回りは日本銀行の利上げ観測の高まりや財政悪化懸念から水準を切り上げ、今週に2.955%と1999年以来の高水準を付けていた。
SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは、20年債入札は応札倍率、最低落札価格、テールのどれをとっても強い結果と評価した上で、「年内や来年1月までを展望すると超長期金利はピークを打ったとみてよい」と話した。
入札結果を受けて債券市場では買いが先行している。長期国債先物中心限月の12月物は一時前日比39銭高の134円35銭まで上昇。新発20年債利回りは2.9%に一段と低下した。午前は入札が順調な結果になるとの見方から先回り買いが入り、前日比2.5ベーシスポイント(bp)低い2.92%に水準を切り下げていた。
超長期債は来年度の国債発行計画で、前年度に続き発行額が減額される可能性が高い。財務省が11月に開いた国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)会合、国債投資家懇談会では参加者から超長期債の減額を要望する声が上がった。
明治安田アセットの大﨑氏は「あす12日のPD会合では20年債の減額に関して期待外れの意見は出ないだろう」と語った。
--取材協力:日高正裕.
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