(ブルームバーグ):米マイクロソフトは、向こう4年間でインドの人工知能(AI)およびクラウドコンピューティング分野に175億ドル(約2兆7500億円)を投じると表明した。世界最多の人口を抱えるインドを成長加速に向けた重要市場と位置付ける。
サティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)は9日、ニューデリーで行われたモディ首相との会談後にこの方針を発表した。マイクロソフトによれば、この投資は規模、スキル、主権の3本柱に重点を置いており、インド国内にAIイノベーションの幅広いエコシステムを構築するというモディ首相の目標と合致する。
ナデラ氏はXへの投稿で、「インドの目指すビジョンを支えるため、マイクロソフトは175億ドルを投じる。当社としてはアジアで過去最大の投資であり、インドが掲げるAIファーストの未来に必要なインフラ、スキル、主権能力を構築する」と記した。
人口14億5000万人のインドは、市場としてだけでなく、AIの人材とデータの供給源としても存在感を高めている。アンソロピックの共同創業者ダリオ・アモデイ氏が10月に訪問したほか、エヌビディアのジェンスン・フアンCEOやグーグル・ディープマインドのデミス・ハサビスCEOも今後数カ月のうちに訪れる見通しだ。インドには機械学習やデータサイエンスに長けたエンジニアが数百万人規模で存在し、タタ・コンサルタンシー・サービシズやインフォシスなど世界最大級の情報技術(IT)サービス企業も拠点を置く。
インテルのリップブー・タンCEOとコグニザント・テクノロジー・ソリューションズのラビ・クマール・シンギセッティCEOも、モディ首相と面会したと9日にXで明らかにした。
マイクロソフトは、世界各国での複数年にわたる大型投資を定期的に発表している。
11月には、ポルトガル沿岸部にAI向けデータセンターを建設するため100億ドルを投資すると発表。同月にはまた、アラブ首長国連邦(UAE)で向こう4年間にわたりデータセンター、クラウドコンピューティング、人材に79億ドル超を投じる方針を明らかにした。9月には、英国でAIインフラと既存事業向けに4年間で300億ドル投資することに合意している。
マイクロソフトは今回のインド向け投資における優先事項の一つとして、同国が将来の技術に対し安全性と主権を確保できるようAIインフラを構築することを挙げた。ハイデラバードに整備中の施設は2026年半ばに稼働予定で、インド最大のハイパースケール地域となる。
原題:Microsoft Makes $17.5 Billion Pledge for AI Cloud in India (2)(抜粋)
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