(ブルームバーグ):欧州一の富裕層一族、エルメス家のファミリーオフィスが、別組織を設立した。仏高級ブランドのエルメス・インターナショナル以外に投資の幅を広げる準備とみられる。
始祖のティエリー・エルメス氏の出生地名を冠したファミリーオフィス「クレーフェルト」は、ファンド運用や資産管理を統括する別会社「ブライトホルン・ホールディング」を設立した。提出書類で明らかになった。
クレーフェルトを率いるシャルルアンリ・シャリアック氏(49)が、新会社ブライトホルンの最高経営責任者(CEO)も務める。
クレーフェルトはティエリー氏の子孫たちが2022年に設立した。エルメス一族は、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトン創業者のベルナール・アルノー氏による買収の試みを2010年に退けた後、個々に保有していた投資事業体を統合。これが現在のクレーフェルトにつながっている。
一族特有の秘密主義を反映し、クレーフェルトは業務内容や経営陣、戦略について詳細をほとんど明らかにしていない。
エルメスの広報担当者は、クレーフェルトに関するコメント要請に応答しなかった。
ブルームバーグ・ビリオネア指数によると、100人を超えるエルメス相続人の純資産は合計1860億ドル(約29兆円)に達し、欧州で最も裕福な一族となっている。
クレーフェルトは、エルメス一族の個人資産を運用する役割を担っている。
エルメス・インターナショナル株の約67%を保有する同一族は、過去4年の記録的な業績で総額51億ユーロ(約9300億円)の配当を受け取り、クレーフェルトの投資余力を高めた。
クレーフェルトと、その別組織ブライトホルンについて詳細はほとんど明らかにされていないが、両社はパリ中心部の同一住所を本拠としている。
原題:Hermes Billionaires’ Family Office Quietly Starts New Offshoot(抜粋)
--取材協力:Angelina Rascouet、Devon Pendleton.
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