米大手テクノロジー企業の利益が際限なく拡大を続けることが、米国株への投資家の熱狂を支えてきた。しかし、その利益が過大に計上されているとしたらどうだろうか。

この疑問を投げかけたのが、著名投資家マイケル・バーリ氏だ。2008年の世界金融危機前に米住宅市場の崩壊に賭けた「世紀の空売り」で有名な同氏は、今週のソーシャルメディア投稿で、メタ・プラットフォームズやアルファベットなどのテクノロジー大手がコンピューター機器の減価償却期間を延ばすことで、利益成長を人為的に押し上げている可能性を示唆し、注目を集めた。

こうした会計上の手法は秘密ではなく、多くの投資家はチップやデータセンター機器への数千億ドル規模の投資がいずれ報われると考えている。

人工知能(AI)インフラに最も多く支出しているメタ、アルファベット、アマゾン・ドット・コム、マイクロソフトの4社の株価はいずれも今年上昇している。

しかし、著名投資家バーリ氏の問題提起は、巨額支出のリスクに光を当てた。

アメリプライズ・ファイナンシャル・サービシズのチーフ市場ストラテジスト、アンソニー・サグリンベネ氏は「今はAIブームの段階から、AIの実証を求める段階に移っている」と述べた。

 

問題となっているのは、画像処理半導体(GPU)やサーバーといった資産がどれほど速いペースで価値を失うかという点だ。近年、多くのビッグテック企業はこうした設備のいわゆる「耐用年数」の見積もりを延長しており、その結果、純利益を圧迫する非現金費用である減価償却費を抑える効果が生じている。

メタは今年、設備の耐用年数の見積もりを従来の4-5年から5.5年に延長した。この変更により、2025年の減価償却費が29億ドル減少すると見積もっている。

マイクロソフトとアルファベットも近年、同様の措置を取っており、設備をより長く活用できるようになったと説明している。

ノースカロライナ大学ケナンフラグラー・ビジネススクールの会計学准教授スティーブン・グレーザー氏によると、耐用年数の延長が妥当かどうかを判断するのは難しい。

懐疑的な見方を示す人々は、エヌビディアなどの半導体メーカーがこれまで以上のペースで新型チップを投入しているため、むしろ減価償却を加速させるべきだと主張する。

アマゾン・ドット・コムはその立場を取り、2月にサーバー設備の耐用年数を6年から5年に短縮した。

アマゾンとマイクロソフトの広報担当者はコメントを控えた。メタとアルファベットはコメント要請に回答していない。

アルファベット、マイクロソフト、メタの3社は7-9(第3四半期)にウォール街の予想を大きく上回る利益を計上した。

オサイクのチーフ市場ストラテジスト、フィル・ブランカト氏は、このような高水準の利益は減価償却費などに関する懸念を打ち消すと言う。

「現時点では、成長力を懸念する理由はまったくない」と同氏は述べた。

原題:Burry’s Depreciation Gripe Shines Spotlight on Big Tech Profits(抜粋)

--取材協力:Felice Maranz、Ryan Vlastelica、Matt Turner、Subrat Patnaik、David Watkins.

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