(ブルームバーグ):11月3週(17-21日)の日本株は調整局面となる見込み。米利下げに対する楽観が後退する中、米エヌビディア決算後の人工知能(AI)関連株に対する市場反応も懸念されそう。
米国では17日に11月のニューヨーク連銀製造業景況指数、19日は10月開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表される。政府閉鎖の影響で公表が遅れていた9月分の雇用統計も発表される可能性がある。追加利下げに慎重な姿勢を示す米金融当局者の発言が相次ぐなど12月の利下げ期待が後退しているため、投資家心理は楽観の反動が出やすい状況にある。
市場の関心が高いのは19日に発表される米半導体大手エヌビディアの決算。 ソフトバンクグループが保有する全ての同社株を売却し、順調に上昇してきた同社株や大型テクノロジー株が足元で高値波乱の様相を呈している。市場の成長期待が高いAI関連とあって、良好な決算内容であっても市場反応が読みづらく、警戒が先行しやすい。
もっとも、外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=155円まで円安が進展した。円安傾向は輸出関連中心に下期業績の追い風となりやすく、業績期待は下値を支えやすい。国内では17日に内閣府が7-9月期の実質国内総生産(GDP)速報値、21日に総務省が10月の全国消費者物価指数(CPI)を発表する。2週の東証株価指数(TOPIX)は1.9%高と反発。
《市場関係者の見方》
ニッセイアセットマネジメントの松波俊哉チーフアナリスト
AI関連株の利益確定が続き、日本株は調整するだろう。台湾企業やTSMCの決算から判断してエヌビディアの決算は悪くないと予想される。ただ米パランティア・テクノロジーズのように良い決算でも売られるケースが出ており、エヌビディアは深い調整に入る懸念がある。さらに2000年代以降の自民党総裁選後の平均的な株価調整期間入りも重なりやすい。
ヴァンエック・アソシエイツのクロスアセットストラテジスト、アンナ・ウー氏
相場の変動が一段と激しくなりそうだ。エヌビディアの決算発表が予定されており、過去5四半期の傾向からみると、結果発表後に「材料出尽くし」で株価が下落するケースが多い。米ウォルマートの決算では、関税によるインフレ圧力の影響が一段と鮮明になる可能性がある。日本でもGDPや貿易収支など主要なマクロ指標が相次いで発表される予定で、景気減速の兆しが見られれば、市場のボラティリティーが高まる恐れもある。
--取材協力:アリス・フレンチ、横山桃花.
もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
©2025 Bloomberg L.P.