ロンドンの高級住宅街チェルシー地区にある、最も豪華な新築マンションの一つ「ザ・グリーブ」の一棟が今月、約2500万ポンド(約50億9100万円)で売られた。以前に提示されていた希望価格から、50%以上の値引きだ。

ザ・グリーブで最後に残っていたこの部屋は、5500万ポンドから4500万ポンドに値下げされた後、11月になってさらに大幅値引きされ、取引が成立した。事情に詳しい関係者が明らかにした。

開発業者代理人が仲介業者に送付した販促資料のデータによると、この販売額は、同マンションプロジェクトの過去8件の平均売却価格のほぼ半値だ。開発を手がけるプライベート・エクイティ(PE)投資会社オリオン・キャピタル・マネジャーズの広報はコメントを控えた。

不振の高級市場

ザ・グリーブの販売価格下落は、ロンドンの高級住宅市場を襲う深刻な不振の表れだ。PE企業は値下げによって、ロンドンの高級住宅ブームがまさに加速し始めた2011年に着手したプロジェクトの完売を急いだ。

10年にわたる不利な税制改正ですでに打撃を受けていたロンドンの高級住宅市場は今年、一部の富裕な外国人居住者が享受していた優遇税制が廃止されたことで、さらなる痛手を被った。こうしたことから、取引を確保するため、大幅な値引きに応じる売り手が増えている。

不動産情報会社ロンレスがまとめたデータによると、今年8-10月、500万ポンド以上の住宅の値下げ件数は、前年同期比で27%増加した。2017-19年の同時期の平均値の2倍以上だ。

高級不動産仲介会社UKサザビーズ・インターナショナル・リアルティは6月、高級住宅街メイフェアのペントハウスの価格を、8500万ポンドから6800万ポンドに引き下げた。当初の市場価格は約1億ポンドだった。

26日の英予算案発表を前に、キャピタルゲイン税の優遇措置変更や、いわゆる「豪邸税」など追加課税に関する臆測が、高級住宅の需要をさらに弱めている。ロンレスによると、500万ポンド超の取引件数は10月、前年同月比で65%減少した。

原題:London Luxury Apartment Sold at 50% Discount as Slump Deepens(抜粋)

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