欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会は、EU域内のESG(環境・社会・ガバナンス)ファンド規則について大幅な見直しを提案している。制度を管理しやすくしグリーンウォッシング(見せかけの環境配慮)のリスクを減らすのが目的だとしているが、この規則を巡っては投資家から長年にわたり不満が寄せられていた。

ブルームバーグが確認した欧州委の文書によれば、欧州委は、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の抜本的な改定を目指している。ESG関連の投資商品を三つの明確な区分に分けることや、ファンドに求めるESGデータの開示項目を減らすこと、一部の企業全体に及ぶ要件を撤廃することが目的とされている。

こうした動きの背景には、欧州全体でESG規則への姿勢が変化していることがある。欧州の各国政府は、現行の規制枠組みがEUの競争力を損ねていると警告してきた。企業向けのESGの要件は既に見直しの対象となっており、当初対象とする予定だった企業のうち、ごく一部のみが順守を求められる見通しだ。

SFDRは投資家に加え、一部の規制当局からも批判を浴びてきた。利用可能ではないデータ項目を要求したり、誤解を招きやすい開示内容やサステナビリティー関連の考え方を強く求めたりしているためだ。

一方で学術的な研究によれば、SFDRに基づくファンド分類は、グリーンウォッシングの発生を許したともされている。

欧州委によれば、「8条」および「9条」として知られるSFDRの開示区分に基づくESGファンドは、EU全体の運用資産のほぼ半分を占めている。またEU域内のファンド数全体のうち、60%余りに達している。

欧州委は、8条および9条に基づく投資家向けのファンド開示について「この目的に合致する基準が欠けているにもかかわらず、金融商品をサステナブルなものとして分類するために、市場で誤解を招く形で利用されてきた」としている。

またSFDRの見直しの中で、「投資家保護の目的が十分に果たされていないという証拠がある」と指摘。新たな分類によって「投資家により明確な選択肢を示す」としている。

欧州委の報道担当はコメントを控えた。

原題:Europe Plans Major Rewrite of ESG Rules for Asset Managers (2)(抜粋)

--取材協力:John Ainger.

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