米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)に総額1兆ドル(約151兆円)の報酬を与える案について、議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は株主に対し、反対票を投じるよう勧告した。取締役会が株主支持の取りまとめを進める中で、新たな障害となる可能性がある。

ISSは昨年もマスク氏の報酬パッケージ案に反対するよう促していた。

マスク氏はテスラを含め、宇宙開発企業スペースX、人工知能(AI)スタートアップのxAI、脳インプラント会社ニューラリンク、トンネル掘削会社ボーリング・カンパニーの計5社を率いる。

ISSは17日に公表した報告書で、「この報酬案の主な目的の一つはマスク氏を引き留め、他の事業にではなくテスラに時間と関心を注ぐよう促すことだが、その実効性を保証する明示的な要件はない」と指摘。報酬案の規模と設計に関する「深刻な懸念」があるとの見方を示した。

これに対し、テスラはXへの投稿で株主に同社の勧めに沿って投票するよう呼びかけた。

テスラは投稿で、「ISSはまたもや投資とガバナンスの根本を完全に見誤っている」と反論し、「自らリスクを負わない立場から投票の指針を出すのは簡単だ」と批判した。

テスラの取締役会は9月、マスク氏が今後10年間にわたりテスラに関与し続けるよう促すことを目的に、前例のない巨額報酬案を提示した。マスク氏が満額報酬を得て議決権を拡大するためには、自社の企業価値を少なくとも8兆5000億ドルまで引き上げるほか、自動車、ロボット、ロボタクシー事業の拡大といった野心的な目標を達成する必要がある。

委任勧誘状の詳細条件によると、新たな株式取得が実現すればマスク氏の持ち株比率は25%以上に達する見込みだ。マスク氏は以前、自身の持ち分を増やせない場合はテスラ以外で製品を製造すると示唆した。

報酬パッケージを巡る株主投票は、11月6日の年次株主総会で行われる。

ISSなどの議決権行使助言会社は、特にパッシブファンドで株式を保有する大規模な機関投資家に対して影響力を持つことが多い。ISSとグラスルイスは2018年のマスク氏報酬案を否決するよう勧告したが、それでも約4分の3の株主が同案を支持した。

原題:Tesla Shareholders Should Reject Musk Pay Plan, ISS Advises (2)(抜粋)

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