米ソフトウエア大手セールスフォースのマーク・ベニオフ最高経営責任者(CEO)は、トランプ米大統領によるサンフランシスコへの州兵派遣案に賛同した自身の発言を撤回し謝罪した。発言から約1週間、地元の起業家や行政当局者から批判が相次いでいた。

ベニオフ氏は17日のX(旧ツイッター)への投稿で、サンフランシスコで開催されたセールスフォースの年次テクノロジー会議ドリームフォースに言及し、「サンフランシスコ市民や地元当局の声に耳を傾け、そしてこれまでで最も大規模で安全だったドリームフォースを終えた今、サンフランシスコの治安対策に州兵は必要ないと考える」と述べた。

セールスフォースの共同創業者であるベニオフ氏は米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)との先々週のインタビューで、自分はトランプ大統領を「全面的」に支持しており、サンフランシスコに州兵を配備すべきだと述べていた。ベニオフ氏の長年の盟友でベンチャーキャピタリストのロン・コンウェイ氏はこの発言に反発し、セールスフォースの慈善財団の理事を辞任した。

ベニオフ氏は今回の投稿で先のコメントについて、ドリームフォース開催を控えて「慎重になり過ぎたためだった。懸念を招いたことを心からおわびする」と述べた。

ベニオフ氏は長くリベラル派の支持者とみられていた。民主党に献金し、サンフランシスコでホームレス支援の財源確保のための増税を提唱したほか、インディアナ州が宗教的見地からの同性愛者差別を容認する法律を成立させた際は投資撤回を示唆したこともある。

しかしトランプ政権2期目に入ると、ベニオフ氏はテクノロジー業界の他の経営幹部と同じく、右寄りの発言が増えている。また近年、サンフランシスコを離れて過ごすことも多くなっていた。

ベニオフ氏は13日、自身の名を冠した市内の小児病院や学校に総額1億ドル(約151億円)を寄付すると発表した。しかしサンフランシスコ在住の富豪で慈善家のローレン・パウエル・ジョブズ氏は17日付ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で、寄付の見返りとしてベニオフ氏が公共政策への影響力を期待しているとしたら、その寛大さにも疑問が生じると指摘した。

原題:Salesforce CEO Apologizes for Pro-Trump National Guard Comments(抜粋)

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