(ブルームバーグ):TOYOタイヤは主力の米国市場での堅調な需要などに支えられた業績好調が続き今期(2025年12月期)の利益見通しを上方修正する可能性がある。将来的には自社株買いを実施する考えも明らかにした。
清水隆史社長は今月のインタビューで、足元の利益の伸びが8月に上方修正した通期の営業利益予想(900億円)を上回っているとし、第2四半期(4-6月)決算会見で示唆したように950億円を超える可能性を改めて示した。米国での新車販売は軟調だが、ピックアップトラックやスポーツ多目的車(SUV)向けタイヤの受注が増加。製品構成の改善で利益率を押し上げている。
TOYOタイヤは来年に5カ年の中期計画を発表する予定。清水氏は次期計画では営業利益1000億円超を目標とし、計画前半で工場の設備投資と自社株買いを実施する意向を示した。同社では少なくとも過去10年間、自社株買いは実施されていない。
同社の株価は20日、一時前日比4.6%高の4115円と9月12日以来の日中上昇率を付けた。TOYOタイヤを巡ってはCLSAが前営業日の17日に投資判断を「ウエート上げ」に従来の「ホールド」から引き上げていた。目標株価も従来の3500円から4500円に上げている。
清水氏はまた、1000億円規模の工場投資に踏み切ることも明らかにした。同社は欧州の高級車市場向け事業の強化を視野に入れているが、欧州かアジアに計2工場を建設する計画で、セルビアやマレーシアなどが候補地になり得るという。セルビアでは既存工場に隣接する土地で、タイヤ500万本の追加生産能力を確保できるとの見方を示した。
この拡張は、米国への依存度を減らし欧州のプレミアム乗用車用タイヤ市場を開拓するTOYOタイヤの戦略転換を浮き彫りにしている。清水氏は、次期中期計画期間中に欧州での生産の現地化を「ほぼ100%に近い形で持っていければ」と述べ、米国の関税が継続する場合、セルビアからの輸出を中東やカナダに拡大する可能性があるとも付け加えた。
清水氏によると、TOYOタイヤ株を3%取得したことが5月に判明した英国のアクティビストファンド、パリサー・キャピタルは株主還元に関する議論に関与しており、TOYOタイヤの現状の経営に満足しているようだと述べた。清水氏はパリサーとこれまで2回会談したと明らかにしたが、合意に達した事項はなかったという。
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