重要な決算発表シーズンを前に、過熱気味の米株式相場上昇への懸念が高まりつつある。政府機関閉鎖がいつ終わるのか見通せない中、株式のバリュエーションはかなり高い水準にあり、労働市場は冷え込みの兆候を示している。

米企業の決算発表は来週本格化する予定で、業績に対する市場の期待値は非常に高い。S&P500種株価指数の予想株価収益率(PER)は23倍に達しており、ドット・コム・バブル期の水準に並ぶ。従って四半期業績が失望を誘う内容となった場合、株式相場は下落方向に傾きやすい。

また、ジョーンズトレーディングによれば、投資家は連邦政府予算案を巡る対立が膠着(こうちゃく)し、主要経済データが公表されないまま「ほとんど手探りの状態」にある。

フロント・バーネットの上級マネジングディレクター、マーシャル・フロント氏は、政府閉鎖は「投資家心理を冷やす要因だ」と指摘。「こうした状況は、資金を手元に置いておく、ないし年末までに利益を確定させるといった判断を後押しする可能性が高い」と述べた。

同氏は、季節的なリスクや政府閉鎖を巡る不透明感、投資家のリスクオン心理が一服する可能性を踏まえると、S&P500種が今月5-10%下落しても驚きではないだろうと話す。

ザックス・インベストメント・マネジメントの上級クライアント・ポートフォリオマネジャー、ブライアン・マルベリー氏は、エヌビディアなど株価のバリュエーションが高い一部銘柄の持ち高を減らし、代わりにディアやキャタピラーといったバリュエーションが低い銘柄への資金配分を進めていると説明した。

こうした動きは他の投資家にも見られる。パイパー・サンドラーのチーフ・マーケット・テクニシャン、クレイグ・ジョンソン氏は1日、「特に上げ過ぎ感のあるモメンタム株については利益確定売り」を検討すべきだと主張。過去5カ月に及ぶ上昇相場を経て、3-4%の調整が起きる可能性があるとの見方を示した。

トゥルイスト・アドバイザリー・サービシズによれば、1976年以降の過去20回の政府閉鎖中、S&P500種は平均してほぼ変わらずで推移した。ただ、2018年の閉鎖期間中に10%上昇した例を除けば、平均0.5%の下落になるという。

ノバスコシア銀行は、政府閉鎖が長引けば相場のボラティリティーは一段と高まる見通しだとし、特に15日に予定されている米消費者物価指数(CPI)の公表が遅れるようだと影響は大きいと指摘する。

ザックス・インベストメントのマルベリー氏は、18年の閉鎖時と現在とでは状況が大きく異なると述べ、その理由として当時はバリュエーションが今よりずっと低かったことなどを挙げた。

原題:Stock Traders Brace for Extended Shutdown Amid Lofty Valuations(抜粋)

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