今週、香港や台湾では台風が大きな被害をもたらしましたが、アメリカではハリケーンの予測のため、情報収集をする気象学者たちがいます。「ハリケーンハンター」と呼ばれる彼らの現場を追いました。
先月、大西洋上で発達したハリケーン「エリン」。巨大な雲の渦の中心にはくっきりとした“目”が確認できます。
この嵐の中を飛ぶ一機の飛行機。「ハリケーンハンター」の観測機です。激しい雨で窓の外はほとんど見えません。
パイロット
「オー マイ ゴッド」
しかし、突然静寂が訪れ、空を見上げると…信じられない青空。ハリケーンの中心部に到達したのです。
彼らは気象学者らで構成されるアメリカ海洋大気庁の専門家チームです。
記者
「これがハリケーンハンターが使う飛行機です。50年前から使われているということです」
観測用の飛行機で嵐に突入し、風速や気圧、湿度などのデータを直接収集します。
去年10月、フロリダを直撃した巨大ハリケーン「ミルトン」。
これはその内部を飛んだ映像です。10人ほどの気象学者が観測機器の数値などをチェック。機内は激しく揺れ、座っているのがやっとの状態です。
今回、特別に観測飛行に同行しました。
幸いこの日は快晴。ハリケーンの襲来に備え、大西洋沖で最新の観測機器を空中に投下し、地上との交信状況をチェックします。
伝統あるハリケーンハンターですが、近年、その情報収集能力が飛躍的に向上しているそうです。
これまでは、人工衛星が撮影した画像と、ハリケーンの中を進む観測機で得たデータを軸に気象分析を行ってきました。しかし、近年はドローンが定点観測した湿度や気圧の情報を観測機のデータと組み合わせることで、はるかに精緻な予測が可能になったのです。
アメリカ トランプ大統領
「気候変動問題は、世界で行われた過去最大の詐欺だ」
気候変動を認めないトランプ政権は発足当初、海洋大気庁の予算を削減し、人員削減を図りました。
ところがその後、災害対策への不安が指摘され、方針を180度転換。現在、スペシャリストら450人の増員を目指す異例の状況となっています。
ハリケーンハンター・ザウィシュ ロック博士
「我々は情報の最前線にいます。上陸前のハリケーンの情報を継続的に収集し、嵐の実態と市民生活への影響を伝えること。それが我々のモチベーションです」
進化を続けるハリケーンハンター。その期待と信頼は今後も高まっていきそうです。

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