(ブルームバーグ):米トランプ政権は、トランプ大統領によるクック米連邦準備制度理事会(FRB)理事の解任を認めるよう連邦最高裁に申し立てる意向だ。ホワイトハウス当局者が明らかにした。FRBに大きな影響を及ぼしかねない法廷闘争が激しさを増している。
この当局者によると、司法省がいつ最高裁に文書を提出するかは不明。当局者は、法的戦略に関することだとして匿名を条件に語った。16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合開催前の時点では、政権の弁護団による最高裁への介入要請は公には確認されなかった。
FRBの報道官によれば、16日午前に始まったFOMC会合にはクック氏と、新たにFRB理事に就任したマイラン大統領経済諮問委員会(CEA)委員長が共に出席した。今回の会合では0.25ポイントの利下げ決定が予想されている。
ワシントンの連邦高裁は15日遅く、クック理事が解任の無効を訴える訴訟が進行している間は職務を継続できるとの判断を賛成2、反対1で下した。

ホワイトハウスのデサイ報道官は声明で、「トランプ大統領は正当な理由に基づき合法的にリサ・クック氏を解任した」とし、「政権は今回の判断を受けて上告し、この問題で最終的な勝利を収めると期待している」と記した。
クック理事は8月、住宅ローン申請に関する不正疑惑を理由に自身を解任しようとしているトランプ大統領に抗議し、ワシントンの連邦裁判所に提訴した。クック氏は疑惑を否定している。この訴訟は、トランプ氏の利下げ要求に抵抗してきたFRBとホワイトハウスの対立を象徴する争点となっている。
ワシントンの連邦地裁のコブ判事は9月9日、トランプ氏によるクック氏解任の試みは違法である可能性が高いとし、訴訟が進行している間はクック氏が職務を続けられると判断。15日の連邦高裁の判断により、地裁の判断は当面維持されることとなった。
FRBは連邦高裁の判断に対するコメントを控えた。クック理事の代理人にも高裁の判断についてコメントを求めたが、これまで返答は得られていない。
上告の方針を示したホワイトハウスの声明について、クック氏はコメントを控えた。
原題:White House Plans to Ask Supreme Court to Let Trump Oust Cook(抜粋)
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--取材協力:Zoe Tillman.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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