台湾で最大野党・国民党の議員24人を対象にしたリコール(解職請求)の是非を問う投票が行われ、全て否決された。これにより国民党は立法院(国会)での多数派を維持し、頼清徳総統率いる与党・民進党にとっては痛手となる結果となった。

今回のリコール投票は過去に例を見ない規模で行われ、議員にあたる全立法委員の約4分の1が対象となった。複数の市民団体は、国民党が中国と連携し台湾の安全保障を危うくしていると主張したが、国民党はこれを否定している。リコールが否決されたことで予算や防衛、裁判官の任命などを巡る対立が一層激化する可能性がある。

国際危機グループの北東アジア担当シニアアナリスト、ウィリアム・ヤン氏は「今回の結果は、多くの台湾人が依然として現在の政治権力の均衡、すなわち立法院では野党が多数を占め、行政は与党が握るという構図を支持していることを示している」と分析した。

民進党の林右昌秘書長(幹事長に相当)は台北での記者会見で、今回の結果を真摯(しんし)に受け止め、国民の声に応えていくと述べた。また、中国が台湾の内政に干渉しているとの主張を改めて示した。「この前例のない市民運動は、反共産主義と台湾防衛の必要性から出発したものだ」と強調した。

 

頼氏はフェイスブックへの投稿で、リコール投票の結果を尊重し、民主主義の下で団結するよう住民に呼びかけた。

仮に国民党の議員12人がリコールされていれば、民進党は少なくとも補欠選挙が行われるまでの間、立法院での多数派を握ることが可能だった。

台湾の台北市で、投票結果が映し出されるテレビ画面を見る有権者ら

原題:Taiwan Opposition Defeats Recall, Keeps Legislative Control (1)(抜粋)

--取材協力:林妙容、Adrian Kennedy、Philip Glamann.

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