欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバーのマクルーフ・アイルランド中銀総裁は、ユーロが世界の金融システムの基軸通貨としてドルに代わるのはすぐには不可能だとの見方を示した。ユーロを導入する国々が財政・経済統合をさらに深める必要があるとした。

マクルーフ氏は、ドルの優位性は長期的に低下するとしつつも、現時点では米国債のような安全資産による単一の財政の枠組みが欧州には欠如していると指摘。「率直に言って、欧州の経済システムの形成はまだ進んでいない」とした。フランスのエクス・アン・プロバンスで開催された経済会議で語った。

為替市場ではここ数カ月、ユーロ高・ドル安が進んだ。マクルーフ氏は米国での法の支配を巡る投資家の懸念が主な要因だと指摘。「直ちにユーロがドルに取って代わることにつながるとは言い難い」とし、ユーロはその準備ができていないと話した。

他のECB当局者らは、欧州は今の世界的な不確実性を機会と捉え安全保障を強化し、単一市場内の障壁を取り除き、共通の目標のため共同資金調達を拡大するべきだと主張している。マクルーフ氏は「EUの地位を実際に高め、主権と自立性を強化するこれらの機会は重要であり活用すべきだ」と述べ、これに賛同する考えを示した。

原題:ECB’s Makhlouf Says Euro Not Ready to Challenge Dollar’s Role(抜粋)

--取材協力:Alan Katz.

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