7日の日本市場では超長期債が大幅安。財政悪化懸念から売りが優勢となり、新発20年国債と30年国債の利回りは約1カ月ぶり高水準を付けた。円は対ドルで145円台に下落し、株式も下げた。

20日に投開票される参院選で与党が苦戦している。有権者動向を探る共同通信の調査では、比例代表の投票先として自民党を挙げた割合は18.2%。次いで参政党が8.1%と、6%台の国民民主党と立憲民主党を上回った。読売新聞などの調査でも自民党と公明党は厳しい状況だ。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは、石破茂首相や自民党の森山裕幹事長は財政規律を重視する姿勢を示しているが、与党が負けて政権の枠組みが変わると財政リスクへの連想が働き、債券が売られやすくなると述べた。

新発30年国債利回りが急上昇し3%に接近。パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、選挙になるとばらまき合戦になりやすく、売られて当然だとした上で、30年債は過去最高の3.2%付近まで上昇する可能性があるとみる。「財務省は日本国債の利回り上昇がグローバル的にハイライトされてくると、バイバックのカードを切ってくるだろう」と言う。

債券

債券は超長期債中心に下落。参院選での与党苦戦で財政拡大が懸念されているほか、8日の5年国債入札に対する警戒感から売られた。

アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは、参院選は市場が思っていた以上に与党の苦境が報じられ、今後の減税リスクを再評価する必要があると指摘。3日の30年債入札以降の悪い流れに追い打ちをかける形となり「超長期債が大きく売られている」と述べた。

新発国債利回り(午後3時時点)

為替

円相場は1ドル=145円近辺に下落。トランプ米大統領が主要新興国グループであるBRICSの反米政策に協調する国に追加で10%の関税を課す考えを示したことを受け、ドル買い・円売りが優勢になった。

あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは「報道によって人民元が売られ、ドルが買われたため、対円でドルが買い戻されている」と指摘。ただ、関税政策を巡るヘッドラインが増える中、これだけでドル・円相場の方向が決まるわけではなく、しばらく方向感のない状況が続くとみる。

この報道の前は円買いが先行していた。みなと銀行の苅谷将吾ストラテジストは、為替市場は上乗せ関税に関する「トランプ大統領の書簡を待っている状態で、日本に対して高関税が課せられるリスクを意識している」と話していた。

トランプ大統領は6日、関税に関する書簡や米国が結んだ貿易ディールについて、米東部時間7日正午(日本時間8日午前1時)から送付・発表を予定していると明らかにした。ベッセント財務長官は9日の上乗せ関税の一時停止期限までに合意がまとまらない一部の国について、3週間の交渉期間延長の選択肢が与えられる可能性を示した。

株式

株式は下落。トランプ大統領の関税に関する書簡の送付・発表を前に対日関税政策への警戒が強まった。

電機や輸送用機器など輸出関連、非鉄金属や鉄鋼といった海外景気敏感業種が下落。日本経済の先行き不透明感から銀行や証券などの金融株も安い。

個別では、米関税政策の影響で需要の先行きに不透明感が高まったとして業績予想を下方修正した安川電機が大幅安。半面、第1四半期の単独売上高が前年同期を上回ったディスコは高い。

MCPアセット・マネジメントの大塚理恵子ストラテジストは、関税政策の材料待ちで投資家は「慎重な姿勢になりやすい」と述べた。日本は選挙を控え農業や自動車の分野で簡単に妥協ができず、楽観視できないと指摘した。

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:日高正裕、横山桃花.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.