(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス証券が新規に投資判断を「買い」とした名村造船所が最高値を更新するなど、25日の日本株市場では造船関連銘柄が活況を呈した。背景にあるのは、世界的な防衛支出の増大に対する期待感だ。
ゴールドマンの宮崎忠洋アナリストらはリポートで、グローバルで日本の造船業界の重要性が高まる中、名村造の「売上高と収益性の持続的な改善ストーリーを株式市場は十分に織り込んでいない」と指摘。商船の受注単価は今後安定的に上昇し、2030年3月期まで営業利益は年率11%の成長が見込めると予想した。目標株価は3700円。
名村造は国内最大級の修理ドック(船渠)を運営し、商船のほか、米軍や自衛隊船舶の修理も手がけている。ゴールドマンでは米軍艦船の修理需要が韓国から日本にシフトした場合、同社ドックの稼働率が上昇し、成長機会が生まれる可能性があるとみている。
名村造株は一時制限値幅いっぱいのストップ高となる前日比19%(502円)高の3210円と大幅反発し、上場来高値を更新。売買代金上位では船舶用エンジンの三井E&Sが一時5.5%高まで買われ、上昇率上位では船舶用塗料大手の中国塗料が9%高の2712円、船舶等電子機器の古野電気も7.2%高の3565円と共に最高値を付けた。
また、ゴールドマンは中国企業の所有船や中国で建造された船舶が米港湾に入港する際、米政府が10月から追加料金を課す予定である点を踏まえ、日本の造船業者の市場シェアが拡大すると予想。さらに、新たな排出規制の導入に伴い、経年船を燃費効率の良い新造船へ置き換える需要も継続すると見込む。
一方、大手海運会社の調査も開始し、商船三井の投資判断を「買い」、日本郵船と川崎汽船を「中立」とした。26年にコンテナ船の需給がおおむね均衡すると予測している上、財務体質と配当の安定性が以前より強固となる中、安定的なキャッシュフローと株主還元に増加余地のある銘柄に市場が注目するとの見方を示す。
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