日本のエネルギー企業は、政府が掲げる脱炭素目標の2050年を過ぎても液化天然ガス(LNG)の輸入を続けることを視野に入れている。

事情に詳しい複数の関係者によると、LNGを輸入する日本の主要企業数社は、30年以降に稼働予定の開発プロジェクトと20年の長期契約を結ぶことを検討している。交渉が非公開のため、匿名を条件に明らかにした。LNG燃焼時の排出量を削減するため、二酸化炭素回収・貯留(CCS)技術の導入を目指すという。

日本政府は、人工知能(AI)、データセンター、半導体工場による電力消費増加により、人口減少に伴い低下傾向にある電力需要が上向くと見込む。停止している原子力発電所の再稼働や再生可能エネルギーの拡大を進める一方で、LNGをエネルギー安全保障の要と位置付けている。

東京ガスの菅沢伸浩専務執行役員はインタビューで、50年の温室効果ガス排出量実質ゼロに向けた移行期間では「天然ガス・LNGというのは引き続き重要な役割を担う」と述べた。「15年がよいか、20年がよいかという議論はあるが、長期契約というのはある程度しっかり保有していく」と続けた。

気候変動対策のコミットメントを守りながらガス火力発電所の利用を継続するため、企業は二酸化炭素回収システムや、燃料としてアンモニアや水素を活用する技術の導入を検討している。これらの技術は、日本国内では本格的に導入されていない。

経済産業省所管のエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の森裕之理事は、海外LNGプロジェクトに投資する企業に対して資金面だけでなく、交渉面での支援も提供していると述べた。メタンの排出コントロールやCCSなどを通じて「環境問題にも配慮する必要がある」と同氏は語った。

原題:Japan Seeks Gas Past 2050 as AI, Data Centers Set to Lift Demand(抜粋)

--取材協力:稲島剛史.

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