15日の日本市場では円が対ドルで145円台後半に上昇。米国と韓国が為替政策を協議したことを受けた円安是正観測が円買いを促した。株式と債券は下落した。

米韓が5月初めに為替政策を協議し、協議を継続することで合意したとの報道があり、加藤勝信財務相が来週に検討しているベッセント米財務長官との会談で円安是正が議論されるとの臆測が出た。14日の海外市場で円は145円61銭まで上昇していた。

その後、米当局者は通貨政策に関する約束を各国との貿易交渉の合意内容に盛り込もうとはしていないと伝わり、円はいったん上げ幅を縮小した。

ニッセイ基礎研究所の上野剛志主席エコノミストは、日本は円安誘導をしておらず一律には捉えられないが、警戒は必要だと指摘。関税交渉が米国の思い通りにいかない場合、為替面でけん制を強める可能性は排除できないとし、目先は「円安是正への警戒感で円が支えられそうだ」と話した。

為替

円相場は1ドル=145円台後半に上昇。米韓の為替政策協議を受けて円安是正観測が広がった。

三井住友銀行の鈴木浩史チーフ・為替ストラテジストは、米中関税協議の合意にもかかわらず、ドル・円の戻りは鈍かったと指摘。これに米韓の為替協議報道が加わった上、日米財務相会談を控えて上値が重いと述べた。

その上で、米が中国に課す30%の関税は低くなく、引き続き景気には厳しい状況とし、「他の国との通商交渉の進展が見えてくるまでドルの上値は重そうだ」とみている。

株式

株式は続落。最近の上昇で高値警戒感がある中、為替相場が円高に振れて自動車や電機といった輸出関連株が売られ、保険や銀行などの金融株も相場を押し下げた。

トヨタ自動車が東証株価指数(TOPIX)の下落に最も寄与した。売買代金上位では決算を発表した楽天グループやアシックスが大幅安となった。

アセットマネジメントOneの浅岡均シニアストラテジストは、相場はかなり戻ったため「過熱感という意味で一服」したようだと話した。今はいったん落ち着いて考える局面だと指摘した。

債券

債券は下落。米国市場で長期金利が上昇したほか、日本銀行の利上げ観測が復活していることから売りが優勢だった。

この日行われた5年国債入札は最低落札価格が予想を下回った。SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは「応札倍率も低く、やや弱めの結果だった」と語った。

新発30年債利回りは一時6bp高い2.98%と前日に続き大幅に上昇し、2000年に付けた過去最高(3.03%)に迫った。13日の入札は波乱なく消化されたが、金利上昇に歯止めがかからない。奥村氏は、超長期債は「日銀が6月に行う国債買い入れ減額計画の中間評価で減額が拡大される可能性が意識されている」と言う。

新発国債利回り(午後3時時点)

--取材協力:山中英典、日高正裕.

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