パキスタン軍は10日早朝に複数のインド軍施設を攻撃したと発表した。空軍基地へのミサイル攻撃に対する報復措置だとしており、核兵器を保有する両国の対立がエスカレートし、全面戦争に近づきかねない情勢だ。

パキスタンは同日早く、インド軍機が自国の空軍基地3カ所をミサイル攻撃したと発表した。首都イスラマバードに近く、軍司令部が置かれているラワルピンディのヌール空軍基地も標的になったことを明らかにした。軍報道官は「空軍の資産は全て無事だった」と説明した。

パキスタン軍はその後、パンジャブ州およびインド支配下のカシミール地域にある空軍基地やその他の軍事施設を攻撃したと発表した。

インド軍はX(旧ツイッター)への投稿で、北部の都市アムリトサルにあるインド軍駐屯地を含む複数の地点で、パキスタンからのドローン(無人機)攻撃を撃退したと明らかにした。

 

報復の応酬となっている両国の軍事行動は4日目に入った。人口密集都市の上空でミサイルやドローンで攻撃するなど、両国間の緊張はここ数年で最も高まっている。米国などの国々は全面戦争を回避するため、外交的な解決を求めている。

中国外務省は10日、敵対行為の「激化に深刻な懸念を抱いている」と表明。地域の平和と安定のためには「緊張をエスカレートさせる行動を控えるべきだ」と両国に呼びかけた。

パキスタンの現地メディアはこの日、シャリフ首相が核兵器に関する意思決定機関である国家指令本部(NCA)の会合を招集したと報じた。ダール副首相は同日にジオ・テレビでこの件について問われた際、会合の開催については明言を避け、「戦時下においては、あらゆる選択肢がある」と述べるにとどめた。

パキスタンは領空を11日正午まで全ての航空機の飛行を禁止した。インドも15日まで北部および西部の32空港を閉鎖し、25の航空路区間の運航を停止するとしている。

ルビオ米国務長官は緊張の緩和を図るため、パキスタンのムニール陸軍参謀長と電話会談を行った。主要7カ国(G7)の外相も、両国に自制を求める声明を発表し、「これ以上の軍事的エスカレーションは地域の安定に深刻な脅威をもたらす」とし、「即時の緊張緩和を求め、両国が平和的解決に向けて直接対話に臨むよう促す」とした。

原題:India, Pakistan Move Closer to Full War After Bases Targeted (2)(抜粋)

(パキスタン副首相の発言や各国の反応などを追加して更新します)

--取材協力:Ruchi Bhatia.

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