(ブルームバーグ):食事宅配を手掛ける米ドアダッシュは同業の英デリバルーに対し、36億ドル(約5180億円)の買収提案を行った。ドアダッシュは自社より小規模なライバル社買収を通じて海外市場に参入する取り組みを推し進めている。
デリバルーのロンドン証券取引所への提出文書によれば、ドアダッシュはデリバルー株を1株当たり現金1.80ポンド(約344円)で取得する案を提示。ブルームバーグの試算では、デリバルーの評価額は約36億ドルになる。デリバルーはこの条件で正式な買収提案を受ければ「株主に推奨する意向だ」とした。
米レストラン宅配市場で3分の2のシェアを握るドアダッシュは海外市場でのシェア拡大を目指している。デリバルー買収は、英国に加え欧州の都市部に進出する足がかりになる。
ただデリバルーはこの提案に関してドアダッシュと協議を行っているものの、最終的に合意に至る「確証はない」とした。両社は以前にも買収交渉を行っていた。英国の規則上、ドアダッシュは5月23日までに正式な買収提案を行わなければならない。両社の事業領域が重複しないと規制当局を納得させる必要もある。
25日の米株式市場でドアダッシュは0.3%高で通常取引を終えた。一方、デリバルーの株価は2021年3月のロンドン上場以来62%下げており、25日終値時点で時価総額は29億ドルだった。
欧州の食事宅配会社は特に新型コロナウイルス禍の間に急成長を遂げたものの、コロナ禍収束後は需要が急減し、株価は打撃を受けた。それ以降、ロンドンに本拠を構えるデリバルーや競合会社はコスト削減や不採算市場からの撤退、拡大戦略の見直しに注力している。
デリバルーは今年3月、アナリスト予想を大幅に下回る利益見通しを示し、株価が急落した。これに先立ち、同月には販売不振と競争激化を理由に香港市場からの撤退も発表した。
サンフランシスコに本社を構えるドアダッシュは米国、欧州、オーストラリアなど30カ国余りで事業を展開している。ただし、海外事業の多くは3年前のフィンランドのウォルト・エンタープライゼズ買収を通じて進出したスウェーデンやエストニア、デンマーク、アイスランドなど比較的人口が少ない欧州諸国だ。日本ではウォルト(Wolt)が事業を継続する形でサービスが一本化された。
原題:DoorDash Offers to Buy UK-Based Deliveroo for $3.6 Billion (1)(抜粋)
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