「グッチ」など高級ブランドを展開するフランスのコングロマリット、ケリングの創業者、フランソワ・ピノー氏の資産が高級品ブームが起きた新型コロナウイルス流行期から急減している。

ブルームバーグ・ビリオネア指数によれば、ピノー氏(88)の純資産は186億ドル(約2兆6600億円)と、2021年8月から69%減少。同指数が集計する富豪のドル建て個人資産で、最も大きな落ち込みを記録した。

競合する仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンの創業者ベルナール・アルノー氏の資産も大きく目減り。同社も高級品需要減の影響を受けている。

ケリングがパリで24日開催した株主総会で、ピノー氏の子息フランソワアンリ・ピノー会長兼最高経営責任者(CEO)は、ケリングの株価動向が失望を誘うもので、「決して素晴らしいものではない」と述べた。

氏名の頭文字から「FHP」として知られる62歳のCEOは「これは大きな下落で、皆さんに失望と金銭的影響をもたらしていることは理解している」と株主に伝えた。

ピノーCEOはここ数年、グッチの再建に取り組んできた。しかし、23日に発表されたグッチの1-3月期売上高は比較可能なベースで前年同期比25%減った。アナリスト予想は24%減だった。

グッチの業績が22年から低迷し始めて以後、ケリングは経営陣の刷新を繰り返しグッチのチーフデザイナーも2度交代させた。だが、こうした対応もかつて人気ブランドだったグッチへの需要を再び喚起させるには至っていない。

ケリングの株価が年初来で27%下げていることについて投資家から質問を受けたピノーCEOは、傘下ブランドの魅力を取り戻すことが株価回復につながると答えた。

原題:Francois Pinault’s Wealth Slides as Heir Fails to Revive Gucci(抜粋)

--取材協力:Jack Witzig.

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.