(ブルームバーグ):ハーバード大学の基金運用機関は、約10億ドル(約1430億円)のプライベートエクイティ(PE、未公開株)ファンドの持ち分売却を巡り、最終段階の交渉を進めている。トランプ米大統領からの圧力や非流動性資産のリターン低迷など、財政面での不確実性が高まる中での取り組みとなる。
事情に詳しい複数の関係者によると、基金を運用するハーバード・マネジメントは、ジェフリーズ・ファイナンシャル・グループを通じてレキシントン・パートナーズへの売却を進めている。
関係者の1人が非公開の話だとして匿名を条件に話したところによると、レキシントン側は最終的に購入に当たり他の投資パートナーを加える可能性がある。なお、取引条件は最終決定されておらず、変更される可能性があるという。
ハーバード・マネジメント、レキシントン、ジェフリーズの広報担当者はコメントを控えた。
6月末までの年次報告書によれば、ハーバード大の基金530億ドルのうち40%近くをPEに配分している。
PEファンドなどは投資先企業の売却に苦戦しており、同ファンドへの出資者も投資資金の回収が遅れている。これがハーバード大を含む大学の基金や年金、ファミリーオフィスの流動性に影響を及ぼしており、短期的な資金需要を満たすために上場株式や債券での運用パフォーマンスに頼ったり、PEファンドの持ち分を売却したりしている。
事情に詳しい複数の関係者によると、今回の売却を巡る取り組みは、トランプ政権とハーバード大を含む各名門大学との対立が激化する前から着手されていたという。
トランプ政権は今月、ユダヤ人学生を守るために公民権法を順守していないとして、ハーバード大への複数年の助成金22億ドルを凍結した。これに対しハーバードは運営見直しを求める政権の要求に応じず政府を提訴した。
原題:Harvard in Talks to Sell $1 Billion of Private Equity Stakes (1)(抜粋)
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