(ブルームバーグ):債券トレーダーは、トランプ米大統領が仕掛ける貿易戦争が米経済に悪影響を及ぼすことへの懸念から、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げへの観測を強めている。10年物米国債利回りは低下し4%に近づいた。
10年債利回りは3日に一時9ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の4.04%と、昨年10月以来の低水準となった。 短期金融市場では、今年4回の0.25ポイント利下げが実施される可能性がわずかながらも織り込まれ始めた。2日には考えられなかったシナリオだ。
100年ぶりの大幅な米関税引き上げが経済成長を妨げるのではないかという懸念が、世界的な債券価格上昇を引き起こし、欧州債と英国債の利回りも急低下している。
トレーダーらは欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行(英中銀)による利下げ観測も強め、市場では今年さらに3回ずつ利下げを実施する確率が高まった。
XTBの調査ディレクター、キャスリーン・ブルックス氏は「債券市場は大きな勝者だ」と述べた。「各国中銀は、米国の新たな世界貿易政策による痛みを幾らかか和らげるために、緩和策を強化する可能性が高い」と指摘した。
一方、モルガン・スタンレーのエコノミストは関税による米国のインフレリスクを踏まえ、FRBが次の利下げを今年6月から2026年序盤に先送りするとの見方を示した。
原題:Traders Bet on More Fed Cuts With 10-Year Yield Headed Toward 4%(抜粋)
--取材協力:Masaki Kondo、Cormac Mullen、Sydney Maki.
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