3日の日本市場では円が急騰し、ドルを含む主要通貨に対してほぼ全面高となった。トランプ米大統領が貿易相手国に対し相互関税を課すと発表し、世界的な景気減速や貿易戦争激化への懸念からリスク回避の動きが広がった。株式は大幅下落。安全資産への需要で債券は上昇した。

円は一時1ドル=146円台に突入し、上昇率は1.5%に達した。みずほ銀行国際為替部の加藤倫義ディレクターは、「投資家がリスク回避で為替のエクスポージャー(持ち高)を縮める動きが出ており、市場取引が薄い中で値動きが大きくなっている」と話した。

トランプ氏は2日、米国への全輸出国に最低10%の関税を賦課し、対米貿易黒字の大きい約60カ国・地域には一段と高い関税率を適用すると発言した。日本への関税率は24%となる。ホワイトハウスの発表によると、最低関税は米東部時間5日午前0時1分(日本時間同日午後1時1分)、上乗せ分は9日午前0時1分に適用される。

為替

東京外国為替市場の円相場は一時1ドル=146円台に上昇。米国の関税政策を巡り欧州連合(EU)が報復措置を取る可能性を示し、貿易戦争激化への懸念からリスク回避の円買いが加速した。

野村証券の後藤祐二朗チーフ為替ストラテジストは、株安を通じたリスク回避姿勢の強まりにより、円高が進みやすくなっていると指摘。ドル・円は6月末で145円と予想していたが、さらに円高が進むリスクも出てきたと述べた。

株式

東京株式相場は大幅安。米相互関税の発表を受けてリスク回避の動きが広がった。外国為替市場で円がドルに対して急伸したことも相場の重し。関税の直接的な影響が懸念される半導体や自動車関連株のほか、日本銀行による利上げ観測の後退から銀行株の下げも目立った。東証プライム市場の売買代金は約5兆9100億円と3月21日以来の高水準だった。

相互関税の対象外となった医薬品をはじめ内需関連株の一部は買われ、相場を下支えした。テクニカル指標のRSI(相対力指数)は日経平均株価が「売られ過ぎ」を示す30を下回り、短期的な自律反発の可能性も意識された。

野村証券の澤田麻希ストラテジストは、企業業績の発表には注視する必要があるとした上で、日本株は株価収益率(PER)も過去10年のレンジから見ると割安感があり、自律反発を狙った買いで短期的に上昇する場面があるかもしれないと述べた。

債券

債券相場は上昇。トランプ米大統領の相互関税政策の発表を受けてリスク回避の買いが優勢だった。10年国債入札を無難に終えたことも相場を支えた。

入札結果によると、最低落札価格は99円84銭と市場予想99円87銭を下回り、小さいと好調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は11銭と、前回の21銭から縮小した。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.15倍と、前回の2.66倍から上昇した。

明治安田アセットマネジメント債券運用部の大﨑秀一シニア・ポートフォリオ・マネジャーは、入札は「新発債ということもあって投資家からの需要があり、無難にこなせた」と話す。ただ、「それほどフローが出ている感じはせず、関税発表を受けた今晩の米国市場の動向を見極めないと投資家は動きにくい」とみている。

新発国債利回り(午後3時時点)

この記事は一部にブルームバーグ・オートメーションを利用しています。

--取材協力:アリス・フレンチ、我妻綾.

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