中国最大手のスマートフォンメーカー、Vivo(ビボ)は、東南アジアを含む海外市場が売上高に占める割合を2年以内に70%まで引き上げることを目指している。世界最大のスマホ市場である中国が飽和状態になる中、グローバル展開を加速させる。

胡柏山最高執行責任者(COO)は、25日から中国海南島で開催されている博鰲(ボアオ)アジアフォーラムでのインタビューで、国外からの売上高は既に全体の半分余りを占めているとし、来年には60%、2027年には約70%にまで拡大するとの見通しを示した。

「われわれの未来は間違いなく海外市場にある」と胡氏はブルームバーグTVに語った。

ブルームバーグTVに語る胡柏山氏

ビボは同フォーラムで、来月発売予定のスマホの最新旗艦モデル「Vivo X200 Ultra」を披露したほか、仮想現実(VR)ヘッドセットの試作品テストを8月に開始すると発表。人工知能(AI)分野で事業を拡大するためのロボット工学研究所の計画も明らかにした。

市場調査会社IDCによると、同社は24年に中国での出荷台数を10%余り伸ばし、米アップルや、国内ライバル企業である華為技術(ファーウェイ)と小米(シャオミ)を抑えて首位に立った。供給過剰状態の中国市場では買い替え需要が販売をけん引しているため、各ブランドは熾烈(しれつ)な競争を繰り広げている。

胡氏は中国の消費者信頼感が依然として弱い中、人々は買い替える前にスマホをより長く使い続けるようになっていると指摘。政府は需要喚起のためクーポン券や補助金を出したが、その効果は一時的だったと述べた。

「補助金は単に買い替え需要を通常よりも早く喚起しただけだ」とし、「市場を好転させることはないだろう」と指摘した。

ビボにとって最大の海外市場であるインドでは、600ドル(約9万円)を超える高価格帯スマホの販売に重点的に取り組むと同氏は述べた。フィリピンやインドネシアなどの市場では、依然として販売数量の拡大を目指しているという。調査会社カナリスによると、ビボは東南アジアでシェアを伸ばしており、インドネシアでは1位、マレーシアでは2位となっている。

米国や西欧などの先進国市場にはまだ参入していない。これら市場にはVRヘッドセットのような最新ガジェットを活用することで、3-5年後に参入を検討する可能性があるとした。

胡氏によると、米中貿易戦争はビボには影響していない。米国では販売していないため米国の関税の影響はなく、ソニーグループや台湾の半導体メーカー、聯発科技(メディアテック)などから部品を調達しているため、米輸出規制の影響もないとした。

原題:Top China Phonemaker Wants 70% of Sales From Overseas by 2027(抜粋)

--取材協力:Allen K Wan、Adrian Wong.

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