(ブルームバーグ):18日の日本市場では株式が大幅続伸。米国で2月の小売売上高を受けて景気後退懸念が和らぎ、幅広い業種が買われた。著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米保険・投資会社のバークシャー・ハサウェイが出資比率を引き上げた大手商社株の上昇も、株高期待を高めた。
為替市場での円安進行も好感され、自動車や電機など輸出関連株が上昇。日経平均株価は一時、2月27日以来の3万8000円を回復した。リスク選好の流れから円相場は1ドル=149円台後半に下落している。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメントの小林千紗日本株ストラテジストは、バークシャーの商社株買い増しは投資家心理にとってポジティブだと話す。投資するセクターの広がりが見られれば、日本株が一段と上昇する転換点になり得るとし、割安な銘柄に投資する戦略を踏まえると、金融や不動産などが対象になる可能性を指摘した。
17日発表の2月の米小売売上高は、国内総生産(GDP)の算出に使用される飲食店と自動車ディーラー、建設資材店、ガソリンスタンドを除いたコア売上高(コントロールグループ)が前月比1%増加した。三菱UFJ信託銀行資金為替部マーケット営業課の酒井基成課長は「米経済がまだ腰折れに陥っていないことが示された」と述べた。
株式
東京株式相場は続伸。商社株のほか、保険や銀行といった金融株や自動車株も高く、割安(バリュー)株の上げが目立った。TOPIXは1月31日以来の高値で取引を終えた。
三菱UFJフィナンシャル・グループやトヨタ自動車がTOPIXの上昇をけん引。5大商社株では伊藤忠商事と三菱商事、丸紅が一時5%超上昇したほか、三井物産は一時6%高となった。
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは、これまで上昇を続けてきた米エヌビディア株がピークアウトして人工知能(AI)関連相場の第一弾が終了した中、バフェット氏が商社を買い増す姿勢を見せたことでバリュー株が相対的に買われる流れが続いているとの見解を示した。
外国為替
東京外国為替市場の円相場は1ドル=149円台後半に下落。日米株高を受けたリスク選好の動きが円安圧力となった。
あおぞら銀行の諸我晃チーフマーケットストラテジストは、米国株が続伸し、きょうは日経平均株価もかなり上昇しており、「リスクオン的で過度の円高ポジションが閉じられている」と指摘。仲値で実需のドル買いが入った可能性もあると話した。
大和証券の石月幸雄シニア為替ストラテジストは、19日の日本銀行と米連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策発表を前に、投機筋による円の売り戻しが続く可能性はあるとし、その過程で150円付近まで円安が進む可能性はあるとの見方を示した。
債券
債券相場は中長期債を中心に下落。株価が大幅に続伸し、リスク志向の高まりから安全資産である国債の需要が低下した。朝方は欧米の長期金利が低下したことを受けて、相場は上昇していた。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、米国株の恐怖指数であるVIXが低下するなど、グローバルにリスク回避の動きが後退しており、日銀の利上げ期待に敏感に反応しやすい10年以下の年限に売りが出たと話した。
三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは、17日は日銀の利上げに寛容な石破茂首相が退陣を迫られ、利上げに否定的な政治家が後任になるとの思惑から年限の短いゾーンを中心に買われたが、「きょうはその反動も出た」と指摘した。
新発国債利回り(午後3時時点)
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--取材協力:山中英典、田村康剛、日高正裕.もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp
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