(ブルームバーグ):三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、銀行の温室効果ガス排出量削減を促す「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から脱退する方針を固めた。複数の関係者が明らかにした。
同関係者らによると、MUFGは今月中にもNZBAに脱退を通知する方針だ。北米を中心に主要金融機関の脱退が相次いでおり、加盟を続けるメリットが薄くなっていることが背景にあるとみられる。
NZBAは米トランプ政権での気候変動政策の後退を背景に、年明けにかけて北米金融機関の脱退が相次いだ。今月には三井住友フィナンシャルグループが国内金融機関として初めて脱退。野村ホールディングスも脱退した。国内トップバンクグループのMUFGも続くことで、日本の金融機関にも脱退の流れが波及してきた。
MUFGの広報担当者は、決定した事実はないとコメントした。
MUFGが脱退すればNZBAに加盟する国内金融機関は、みずほフィナンシャルグループと三井住友トラストグループ、農林中央金庫の3社となる。
NZBAは2050年までに投融資のポートフォリオにおける温室効果ガス排出量のネットゼロを目指す民間金融機関の連合で、100以上の金融機関が加盟している。昨年12月から年明けにかけて、ゴールドマン・サックス・グループやJPモルガン・チェースなど主要米銀が軒並み脱退した。
脱退した米主要銀はいずれも脱炭素化は依然として価値のある目標だと認識していると表明している。脱退した日本の金融機関も同様だ。
三井住友FGは2050年に投融資ポートフォリオ全体をネットゼロとする目標を設定しており、脱炭素に向けた取り組みは進める。野村HDも各国・地域の規制や経済状況に合わせて脱炭素へのアプローチを調整するために離脱を決めたとして、26年3月までの5年間で計1250億ドル(約18兆5000億円)のサステナブルファイナンス案件に関与する目標は維持する。
--取材協力:中道敬、Sheryl Tian Tong Lee.
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