フランスのマクロン大統領は5日、自国の核抑止力を欧州同盟国の防衛に活用することについて協議に入ると明らかにした。

マクロン大統領はテレビ演説で、「フランスの核抑止力を通じて欧州大陸の同盟国を防衛する戦略的議論を開始することを決断した」と述べた。

欧州連合(EU)首脳は6日にブリュッセルで緊急会合を開き、ウクライナ情勢と欧州大陸のより広範な安全保障に関して協議する。マクロン大統領は、ドイツのメルツ次期首相からの要請を受けて今回の決断に至ったと述べた。

EUと加盟国はロシアによる侵略の脅威に対抗するとともに、トランプ米大統領が欧州安全保障への米国の関与を劇的に後退させたことを補うため、数兆ユーロの追加防衛費の確保を急いでいる。米国の核安全保障の傘はこれまで欧州にとって中核的な抑止政策だった。

マクロン大統領は数カ月前からフランスの核兵器能力を地域の抑止力として考慮するよう働きかけている。昨年、地元メディアのインタビューで同大統領は、フランスの核抑止力は「フランスの極めて重大な利益が脅かされた場合に利用できる」と述べ、「こうした重大な利益には欧州的な側面もある」との認識を示していた。

ドイツは今週、政府借り入れ制限を緩和する劇的な転換として、防衛およびインフラ投資に数千億ユーロを投入すると発表。EUに対し、加盟各国が防衛支出を増額できるよう財政規則の改革も呼びかけている。

原題:France to Open Talks to Extend Nuclear Shield for Europe (1)(抜粋)

もっと読むにはこちら bloomberg.co.jp

©2025 Bloomberg L.P.