(ブルームバーグ):トランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領の衝突を受け、台湾は米国との関係の在り方を再考し始めている。
顧立雄国防部長(国防相)は3日の記者会見で、「国益を考慮せずに価値観について議論することはできないと深く認識している」と述べ、「急速に変化する国際情勢と敵対勢力からの高まる脅威に直面する中で、平和を維持するため他国の善意に頼ることはできない」と指摘した。

顧氏がトランプ氏の政策と中国からの軍事的威嚇に触れながらこうした考えを示してほどなく、トランプ氏はウクライナへの軍事支援の一時停止を命じた。
台湾や日本、韓国、フィリピンなど、米国の軍事支援に頼り、中国に対抗している国・地域の安全保障当局が抱える問題の緊急性が浮き彫りになっている。
ホワイトハウスで先週起きたゼレンスキー、トランプ両氏の衝撃的な応酬を目にし、トランプ氏の政策に対応する新たな戦略を練ることが急がれる。
ブルームバーグは4日、ゼレンスキー氏が平和への誠実なコミットメントを示しているとトランプ氏が判断するまで、米国はウクライナへの軍事支援を一時停止すると報じた。
台湾を自国領土の一部と見なす中国は、「祖国統一」に向け武力行使も辞さないとしている。ロシアが2022年にウクライナ侵攻を始めたことで、台湾は中国への対抗措置として世界の民主主義陣営からの支援を一段と強く求めてきた。
台湾は引き続きそうした取り組みを続けると思われるが、顧氏のコメントは、米国の支援を確実に得るためのより具体的な方法を探ろうとする姿勢を示している。
台湾は既に、トランプ氏の働きかけを受けて域内総生産(GDP)に占める軍事費の割合を増やすと発表。米国からのエネルギーや農産物、武器の購入を増やし、過去最大を昨年記録した対米貿易黒字を削減する意向も表明している。
トランプ氏は3日、台湾積体電路製造(TSMC)が米工場に1000億ドル(約15兆円)を追加投資する計画を発表。米国内の半導体生産増加につながり、国内製造業の拡大というトランプ氏の目標を後押しすることになる。

昨年5月に頼清徳氏が台湾総統に就任して以後、中国は台湾に対する圧力を強めており、近海での大規模な軍事演習を複数回実施している。先週は台湾周辺での射撃訓練を実施した。
顧氏は先週の訓練について、中国人民解放軍が「インド太平洋地域における主要な不安定要因であり、トラブルメーカーである」ことを示していると述べた。
原題:Trump’s Blowup With Zelenskiy Spurs Taiwan to Rethink US Tactics(抜粋)
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