(ブルームバーグ):2025年度の政府当初予算案は28日、国会で修正が加えられる異例の展開となった。当初予算案の修正は29年ぶり。少数与党の下での予算成立には野党の要望を反映せざるを得ず、高校無償化関係費などを盛り込んだ。
衆院事務局によると、自民・公明両党が修正案を提出した。歳出は、日本維新の会が求めていた高校授業料無償化の就学支援金で1064億円の財政支出を上積みした。高額療養費の見直しを据え置くことで55億円も計上する。
歳入では、所得税が発生する「年収103万円の壁」の160万円への引き上げに伴い税収が6210億円減少する。国民民主党が求めていた178万円までの引き上げは見送ったものの、政府案の123万円から上乗せする修正を行った。この措置に伴って地方交付税交付金は減収する。
歳出増や歳入減の穴埋めをするため、予備費を削減したほか基金の一部を返納し、税外収入を上積みした。これらの修正の結果、一般会計総額は当初の政府予算案から3437億円減り、115兆1978億円となった。

自民・公明が少数与党で臨んだ今通常国会は、衆院での予算案可決で野党の協力を得るために修正が行われるかどうかが焦点となっていた。従来、政府は与党と調整した上で予算案を国会に提出すれば、数の力で通すことができたが、この慣例が崩れた格好だ。政治の構図とともに、政策決定のプロセスも変化した。
与党側と個別に政策協議を行っていた維新、国民の両党は修正後の25年度予算案への賛否を明らかにしていない。維新とは教育無償化などを盛り込んだ案を年度内に成立させることで合意したものの、与党の「103万円の壁」引き上げ案への賛否は未定だ。国民の税制調査会は同案を拒否することで一致し、予算案への対応は古川元久税調会長と浜口誠政調会長に一任した。
予算提案権は内閣に
衆院事務局によると、現憲法下で過去に当初予算案が国会で修正されたのは1953年、54年、55年、96年の4回。このうち2回は予算総額に変更がなく、残り2回は減額された。
増額修正は、政府案に国会がどこまで手を加えられるかが不透明な事情がある。憲法は予算の編成・提案権が内閣にあると規定する。国会による予算修正について、政府は過去に増額も含めて可能との認識を示す一方、「内閣の予算提案権を侵害しない範囲内において」との条件にも言及していた。
今回の予算修正で一般会計歳出総額は減少したが、歳出規模が過去最大であることに変わりはない。少数与党では野党からの歳出圧力は高まりやすく、予備費を通じた調整などで対応するには限界もある。
日本の財政状況は世界で最悪の水準にあり、国際通貨基金(IMF)によると、日本の公的債務の対国内総生産(GDP)比は25年に232.7%に上る。今年1月の政府試算では、25年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)は約4兆5000億円の赤字と、同年度の黒字化目標の達成はおぼつかない。
IMFのギータ・ゴピナート筆頭副専務理事は7日、日本経済に関する審査(対日4条協議)終了後の会見で、「いま財政再建に着手することが日本にとって極めて重要だ」と強調。その上で、「25年度予算を巡る国会での議論が財政健全化の取り組みのスタートを示すような状態にまとまることを期待している」と語っていた。
(野党の動向を追加し、更新しました)
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