米カリフォルニア州シリコンバレーでは、修繕が必要な住宅の購入にも数百万ドルかかることが多い。

米国の他の地域では高い住宅ローン金利で需要が抑制されている可能性があるものの、ハイテク株ブームに乗るシリコンバレーの多くのソフトウエアエンジニアや、暗号資産(仮想通貨)で多額の利益を得た人にとって、そんなことは全く問題にならない。

同州クパチーノの不動産業者トレイシー・スー氏は顧客に対し、競争に勝てる高い買い取り価格を提示するようアドバイスしている。

スー氏は先月、アップルの本社近くにあるサラトガの古い3ベッドルームのランチスタイルの住宅について、建て直しを計画している買い手が450万ドル(約6億7300万円)で購入するのを手助けした。

また最近では、同市で小型住宅が390万ドルで売りに出されたが、顧客の1人はスー氏の助言を聞き入れず、売り出し価格に対し60万ドルの上乗せしか提示しなかった。その結果、460万ドルでの購入を提示した他の買い手に物件が渡ったという。

不動産情報サイト、ジローの米50大都市圏の分析によれば、シリコンバレーの大部分を含む住宅市場は、全米で最も売り手市場となっている。人工知能(AI)ブームに伴う好景気の一方で、物件の供給が極めて限られているため、サンノゼ地域は住宅価格の伸びでも首位となっている。

また、先月は驚異的なペースで不動産の売買契約が成立した。ジローによると、物件が売りに出されてから契約が成立するまでの平均期間はわずか9日だった。

 

買い手は引き続き住宅価格が上昇すると予想しているため、必要以上に高い購入価格を支払うことについては心配していないと、ジローのチーフエコノミスト、スカイラー・オルセン氏は指摘する。

この地域の企業従業員の報酬の大部分を占めるのはハイテク株で、半導体大手エヌビディアを中心に、2年間にわたり好調が続いている。仮想通貨および関連企業の株価も昨年11月のトランプ氏の当選後に急伸したが、最近は圧力にさらされている。

トレイシー・スー氏が売却に携わったクパチーノの住宅

株価の変動自体も、住宅購入を後押ししている。1月には中国のAIスタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)が高度かつコスト効率の高い技術で業界に衝撃を与えたことで、購入を踏みとどまる買い手もいた。しかし、そうした足踏み状態も長くは続かなかった。

不動産業者レガシー・リアルエステート&アソシエーツのスティーブ・アン氏は「数人のエヌビディアの顧客は、多額の資金を保有しているが、株価が毎日のように変動するのを見ている」とし、こうした変動は「何十万ドルにも相当する。彼らはそれを見るのが精神的な苦痛となっているため、現金化してロスアルトス、マウンテンビュー、サラトガ、パロアルトなどで物件を購入したいと考えている」と述べた。

原題:Silicon Valley Homes Are Flying Off the Market in Just Nine Days (2)(抜粋)

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