トランプ米大統領は、イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで拘束している人質を今週末までに解放しない場合、イスラエルは停戦合意を破棄すべきだと述べた。6週間にわたる合意が失敗に終わる瀬戸際にあることを示唆している。

トランプ氏は「土曜日(15日)12時までに人質全員が解放されない場合」、合意を破棄し全てを白紙に戻すべきだと語った。

同氏はさらに、ガザ地区の避難民を移住させるという自身の計画にヨルダンとエジプトが同意しない場合は、両国への対外援助を打ち切ることも検討すると述べた。「もし彼らが同意しない場合」、援助の打ち切りもあり得るとした。

イスラエルとハマスは、停戦の条件に違反したとして互いを非難。ハマスは10日、15日に予定されていた次の人質解放を延期すると発表した。

週末に行われたFOXニュースとのインタビューが10日に放映された。その中でトランプ氏は、ガザを管理し復興させるという自身の計画について、パレスチナ住民がガザ地区に帰郷する権利はないと述べた。

トランプ氏はパレスチナ人にガザ地区帰郷の権利はあるのかと問われ、「いや。その権利はない。彼らはもっと良い住環境を得るからだ」と回答。「言い換えれば、私は彼らのために恒久的な場所を築くことを話している。戻らなくてはならないのなら、何年も先のことになるだろう。居住不可能だからだ」と続けた。

パレスチナ人やアラブ諸国の首脳をはじめ、世界中からこの発言への新たな反発が起きるのは必至だ。トランプ氏がガザ地区占領の考えを最初に明らかにしたのは先週、イスラエルのネタニヤフ首相との会談後に行われた記者会見だった。

トランプ氏の側近らは即座にトランプ氏がガザ地区への米軍派遣にコミットしていないと指摘したほか、ガザ復興に米予算からの拠出はさせないと確約するなど、この計画による衝撃のコントロールに動いた。パレスチナ住民の移住受け入れでヨルダンやエジプトなどに圧力を強める手段だとの説明もあった。そうした側近らの配慮にもかかわらず、トランプ氏は以降、繰り返しこの計画を表明している。

「われわれは安全なコミュニティーを築く。少し離れたところだが、今の場所は危険でいっぱいだ」とトランプ氏。「いずれは私がこれを所有するつもりだ。将来の不動産開発だと考えればいい」と述べた。同氏はこれが米大統領としてガザ地区を所有するのか、あるいは不動産デベロッパーとしての計画なのか、発言を明確にしていない。

ヨルダンのアブドラ国王は11日にワシントンでトランプ氏と会談する。トランプ氏のガザ所有計画が議題になるとみられる。

動画:トランプ氏記者会見の解説

原題:Trump Tells Israel to Cancel Ceasefire If Hostages Not Returned(抜粋)

(トランプ氏のインタビュー発言を追加して更新します)

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