米国の貿易赤字は昨年12月に大幅拡大した。関税引き上げを掲げるトランプ大統領の2期目就任を控え、輸入が急増したことが背景にある。

2024年通年では9184億ドルに達した。23年は貿易赤字が14年ぶりの大幅縮小となっていた。

輸入は3.5%増加する一方、輸出は2.6%減少した。データはインフレ調整されていない。

輸入は工業製品など、広範囲にわたって大幅に増えた。トランプ大統領の関税発動を見越して、米企業が製品の確保を急いだことを反映している。また、港湾労働者のストライキに伴う混乱を軽減しようとする動きもあった。ストは先月、回避された。

トランプ政権は関税を通じて国内生産の活性化や国家安全保障の強化、不公正な通商政策の是正を目指しており、今後は経済的および地政学的な観点から月次の貿易統計の重要性が高まりそうだ。

対メキシコ赤字(季節調整済み)は152億ドルと、前月からやや縮小。一方、対カナダ赤字は2022年7月以来の水準に拡大した。カナダ政府が発表した貿易統計では、原油輸出の急増が示された。

24年通年では、調整前ベースでメキシコとの財の貿易赤字が過去最大の1718億ドルに拡大。カナダとの貿易赤字は縮小した。中国との財の貿易赤字は2954億ドルに拡大した。

他国の低コストや緩い規制を利用してきた米企業にとって、関税は厳しい試練となるだろう。サプライチェーンの再構築も容易ではない。

エコノミストは貿易赤字について、マクロ経済によって左右されると指摘している。具体的には米国の旺盛な消費、ドル高による輸入品価格の押し下げや輸出品価格の押し上げといった要因だ。また関税自体がドルへの需要を拡大させている。

12月には財の輸入増が広範囲にわたった。工業用品は1993年以来の大幅な伸び。自動車や家電製品、その他の機器の製造に使用される金属形材の輸入急増が全体を押し上げた。この他、原油と金の輸入も増えた。

昨年第4四半期(10-12月)の米国内総生産(GDP)において、財・サービス貿易による実質の寄与度はほぼゼロだった。

詳細は表をご覧ください。

原題:US Trade Gap Ballooned Ahead of Trump Term, Tariff Promises(抜粋)

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