今月中に備蓄米放出なら「来月には3800~3900円ほどに落ち着くのでは」

熊崎キャスター:
政府が保存している「備蓄米」を放出できるようにする制度を新設しました。
備蓄米は、政府が緊急時に備えて蓄えているコメで、100万トン程度備蓄されています。
今までは、凶作などの緊急時のみ運用されてきましたが、今後は、円滑な流通に支障が出た場合も放出することになりました。
備蓄米が放出された場合について、宇都宮大学の小川真如助教は「高く売れないと判断した一部業者がストックしていたコメを手放す可能性がある」と話しています。
それで価格は下がるのでしょうか。

宇都宮大学 小川真如 助教
「今月中に放出されれば、来月には3800~3900円ほどに落ち着くのでは」
ただし、政府としては備蓄米を放出したら1年以内に同じ量を買い戻すとしています。
放出した分は戻さないと、備蓄にはなりません。その場合、価格競争が起こり、再びコメの価格が上がる可能性もあると指摘されています。
井上キャスター:
政府としてはずっと「備蓄米を放出すると市場原理が崩れる」「新米さえ出てくれば価格は落ち着く」ということを話してきました。ただ、かなり見通しが甘かった、遅かったと言えます。
宇都宮大学 小川真如 助教:
その判断は難しかったと思いますが、少なくとも備蓄米放出できる可能性を検討するというカードは、いつでも切れたはずです。それが遅かったと思います。
このカードを切れば、集荷業者の過熱を抑えられたと思います。
オンライン直売所「食べチョク」秋元里奈 代表:
備蓄米放出と言っても、買い戻すことが条件に入っています。
今回の備蓄米が出たら、おそらくストックされているおコメが出てくるので、今度は安くなってしまう。なので、改めて適正に戻していくことになると思います。
なかなか、今回みたいに業者が新規で入ってくるのは今までなかったので、想像できてなかったのかなと思います。農水省側もあまり考えていなかったのかもしれないですね。
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<プロフィール>
小川真如さん
宇都宮大学農学部 助教
国内の農業・農学を中心に幅広く研究
コメの流通に詳しい
秋元里奈さん
オンライン直売所「食べチョク」代表 34歳
神奈川の農家に生まれる