フランスの高級品ブランドグループ、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンはウオッチ部門全体にムーブメント(時計の駆動をつかさどる心臓部)を供給するため、高級腕時計ブランド「ゼニス」でのムーブメント製造拡大を計画している。

ウオッチ部門を率いるフレデリック・アルノー氏は14日、「ブランドの枠を超えてグループのムーブメントメーカーとして発展させることができると考えている」と述べた。

ゼニスでのムーブメント製造強化という戦略は、同社が部品メーカーを買収するよりも、社内でスイスの時計製造能力を拡大したいと考えていることを示唆している。

自動巻きクロノグラフムーブメント「エル・プリメロ」で有名なゼニスは、すでにLVMHの高級腕時計ブランド「ウブロ」向けムーブメントを一部製造しているほか、過去にはタグ・ホイヤーにも供給した実績がある。

機械式ムーブメントの製造は、現代の機械式腕時計の製造において極めて重要な要素であり、コストもかかるが、ゼニスは高級ムーブメントの製造で長い歴史を持つ。製造を拡大することでLVMHはコスト面での相乗効果を得られる可能性があり、ゼニスにとっては高級腕時計の需要低迷下で成長への道筋が開かれる可能性がある。

フレデリック・アルノー氏(30)はスイスでのイベント後、「自社ブランドのために当社は高級時計業界において一役を担うことを目指している」と述べた。

同氏はLMVHの創業者ベルナール・アルノー氏の5人の子どものうちの1人で、新設されたウオッチ部門の責任者に今年1月に就任した。

バーンスタインのアナリスト、ルカ・ソルカ氏は「スイス製腕時計では存在感が薄いにもかかわらず、LVMHがムーブメントに投資しているのは興味深い」と指摘。「これはLVMHが本気であることの表れのようだ」とし、「現在は取るに足らない」ティファニーのウオッチ事業を強化する可能性もあるとした。

原題:LVMH to Ramp Up Zenith Brand’s Production of Watch Movements (1)(抜粋)

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