当時19歳の男に死刑判決　夫婦を殺害し住宅に放火など殺人放火事件　甲府地裁

3年前、甲府市の住宅で夫婦を殺害し住宅に放火したなどとされる当時19歳の被告の裁判で甲府地方裁判所は死刑判決を言い渡しました。
改正少年法で18歳と19歳は「特定少年」と位置付けられ、特定少年に死刑判決が言い渡されたのは全国で初めてです。

1月18日午後2時8分に開廷した判決公判。

三上潤裁判長：
被告人は証言台の前に来てイスに座ってください

ワイシャツのボタンを首元まで留め上下黒のスーツを纏った少し伸びた坊主頭の男は傍聴席に会釈をしたあと証言台のイスに腰をおろしました。

殺人や放火などの罪に問われた甲府市の遠藤裕喜被告です。

被告は19歳だった2021年10月甲府市の住宅に侵入して夫婦を刃物で刺して殺害し、夫婦の次女も殺害しようとした他、住宅を全焼させたなどとされています。

検察側は「完全責任能力があった」と主張し死刑を求刑。

弁護側は心神耗弱状態だったと反論し少年であることに変わりなく謝罪と懺悔の気持ちを一生背負わせるべきとして死刑にすべきではないと訴えていました。

三上潤裁判長：
判決の宣告を行いますが本日はまず理由の要旨から述べます。

極めて厳しい判決が予想される「主文を後回し」とし、判決理由の読み上げが始まります。

三上潤裁判長：
「犯行態様も悪質で特に夫婦の殺害は執拗かつ残虐で強固な殺意があり十分計画性が認められる」

三上裁判長は、被告には精神障害は見られるものの臨機応変な目的に沿った行動などから犯行当時完全責任能力はあったと指摘。

三上裁判長：
「一般的に19歳は一定程度社会の一員として行動し期待されている。年齢を考慮するにしても死刑を回避する理由とはならない」

三上裁判長：
「被告人は立ち上がってください。被告人を死刑に処する」

検察の求刑通り死刑を言い渡しました。

その瞬間被告は、「はい」と小さく返事しうなずきました。

改正少年法で18歳と19歳は「特定少年」と位置付けられ、特定少年に死刑判決が言い渡されたのは全国で初めてです。

被告の弁護人は被告と話して控訴について検討するとしています。

約50分におよんだ判決公判。死刑が言い渡されたあと裁判長に「控訴期限の2週間考えることをあきらめないで」と言われ、被告は涙を流していました。