10年余り前、山梨県の中央道・笹子トンネルで天井板が崩落し、9人が亡くなった事故について、原因を考えるため海外でトンネルの建設に携わる専門家と遺族が勉強会を行いました。

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この勉強会は長年、海外でトンネルの安全計画に携わってきた東京のコンサルティング会社代表の太田義和さんの声かけで行われたもので遺族7人が参加しました。

崩落した笹子トンネルの天井板は真上に垂直に打ち込まれたアンカーボルトで支える構造でしたが、太田さんは天井板を吊る工法は日本だけで、海外では発想自体がなく採用されていないと指摘。

その上で、事故以来天井板の撤去が進められましたが、天井板は火災が発生した際に煙を逃がすために必要なもので、海外では日本と違う構造で設置されることが一般的だとしました。

さらに日本は緊急時以外はネクスコ中日本など高速道路管理者だけの判断で通行止めにすることはできず、点検のために道路を閉鎖することは容易ではない、とも話しました。

石川友梨さん(当時28歳)の父 信一さん:
日本の技術だけでなく意識の上でも世界との遅れを痛感しました。

松本玲さん(当時28歳)の父 邦夫さん:
根拠のない慢心というか安心感というか、そういうものに組織全体が浸されてしまっていた。そこに(事故の原因が)あるのではないか。

遺族はネクスコ中日本だけでなく国土交通省にも事故の責任の所在や高速道路の安全性の問題について説明を求めたいとしました。