筋萎縮性側索硬化症、ALSという病気をご存じでしょうか。全身の筋肉が少しずつ動かなくなる難病です。この病気を患った男性が山口県宇部市にいます。明るい性格と周りの支えで、アクティブに毎日を過ごす男性に密着しました。
43歳でALSと診断
宇部市に住む福島雅弘さん、50歳。2017年、43歳のときに筋萎縮性側索硬化症・ALSと診断されました。ALSは、体を動かすための神経が障害を受け、少しずつ全身の筋肉が動かなくなる病気です。国内の患者数はおよそ1万人、進行性の病気で原因は十分解明されておらず、有効な治療法はありません。
現在、雅弘さんが動かせるのは、目や口元など一部の筋肉のみです。年明けのこの日、向かったのは常盤神社。あることをお願いしに来ました。
大阪市出身の雅弘さんは、高校から始めたアメフトに熱中する青春を送りました。大学卒業後、芸能関係の仕事をする中で妻の真理さんと出会い結婚。脱サラして真理さんの地元・宇部市で不動産業を始めようとしていたとき、ALSを発症しました。
雅弘さんは視線でパソコンに文字を入力し、登録していた自身の声を流して会話します。
記者「診断を聞いて?」
福島雅弘さん
「もう頭真っ白よ、あー、僕終わったなぁって思いました」
診断後1週間ぐらいは震えていたといいます。真理さんとの思い出づくりのためニューヨークに東京、大阪…各地へ旅行に出かけました。
胃ろう・人工呼吸器を装着
その後病気が進行し、徐々に飲み込む力が弱くなったことから、2020年に食べ物を直接胃に入れる胃ろうを造りました。
ヘルパー・村上真里さん
「福島さんがメニューを考えられてお医者さんに相談してるみたいです。栄養バランスがとれているかとか」
1日3回、体調の確認に訪れる訪問看護師が食事を補助します。
サンキ・ウエルビィ訪問看護ステーション宇部 下村恵美看護師
「自分でメニューを考える人はなかなか…私自身は初めてです。みなさん結構、病院で処方されたものを注入されてるかたが多いですね」
この年、呼吸する力も弱くなったため人工呼吸器も装着しました。真理さんは、司法書士として働きながら、雅弘さんのために訪問介護事業を始めました。
妻・福島真理さん
「日本の今の法律は在宅生活、支援できるような法律そのものはあるんですけれども、その支援の体制というか人が足りなかったり、生活までのサポートする人だったり、足りないような状況で」
学生との会話が楽しみのひとつ
介護ヘルパーに加えて、医療系の学校に通う学生のアルバイトなど10人以上を雇っています。
雅弘さん
「(PC画面)今の地味な子誰?」
アルバイト・重田楓歌さん(YICリハビリテーション大学校作業療法学科3年)
「重田です、重田です、髪が黒くなりました」
他の学生「オレンジ色やめたん?」
重田楓歌さん「オレンジやめた」
学生たちとの会話は、雅弘さんの楽しみの1つです。学生にとっては、先輩ヘルパーや訪問看護師の仕事を生で見る貴重な機会にもなっています。
アルバイト・福江美里さん(YICリハビリテーション大学校理学療法学科3年)「医療の現場って感じで、覚えることとか日によって体調とか違ったりして大変だったことも多いんですけど、その分知識になることも多かったのでやりがいは感じてます」
雅弘さん
「学生はすごいなと思います。立派やなと思います」