高齢者による交通事故が問題視されるようになって久しいですが、そのたびに話題に上がるのが「免許返納」です。山口県のように公共交通が発展していない地域では、生活のために車は不可欠で、高齢のドライバーにとっても簡単には踏み出せないのが現状です。

宇部市に住む84歳の男性。事故を起こしてしまう前にと、去年、運転免許を自主返納しました。その後の生活に密着すると、高齢者の運転や免許の自主返納について、家族や地域のみんなで考えることの大切さが浮き彫りになりました。
池袋暴走事故遺族の訴え

松永拓也さん
「ぜひ、加害者にも被害者にもならないようにしていただきたいなと」
去年12月。周南市で開かれた講演会で訴えたのは、松永拓也さん。妻と当時3歳の娘を交通事故で亡くしました。2019年、東京・池袋で当時87歳の高齢ドライバーが運転する車にはねられたのです。講演会で語られたのは、愛する家族を亡くした悲しみと「被害者も加害者も生まないこと」の大切さでした。
松永さん
「交通事故の遺族の現実っていうのを見てもらったら、誰かが解像度が上がって、誰かが安全に運転しようとか、そういうふうに思ってくれるんじゃないかって」
県内でも相次ぐ高齢ドライバー事故
交通事故は一瞬で人を傷つけ、尊い命を奪っていきます。高齢ドライバーの事故は全国的に問題視されるようになって長い年月がたちました。去年、県内でも相次ぎました。高齢化が進む山口県。免許を持つ人の高齢化も当然進んでいます。

2013年は、94万の免許総人口に対して、65歳以上が23%、75歳以上が7%でした。一方、去年は、免許総人口は89万人と減っているのに対して、65歳以上は30%、75歳以上は12%と、高齢者の割合が増加しています。