山口県下関市安岡地区で100年以上続く、伝統漁法があります。その名も「イカシバ漁」。

訪ねたのは、漁師の道へ進み半世紀以上の梅野孝昭(うめのたかあき)さん。そして息子の晋也(しんや)さん。親子二人三脚で漁を始め、今年で18年目になります。

原千晶アナウンサー
「イカシバ漁って、どういうものなんですか?」
晋也さん
「春になると甲イカが産卵のために浅場に上がってくるのを誘い込んで取る漁法です」

漁期は2月中旬から4月いっぱいの、およそ2か月半。1年で最も美味しいとされる産卵期のコウイカを狙う漁法。それが、安岡地区のイカシバ漁です。

使うのは、直径およそ1mの円筒形の網カゴで、海藻に産卵するコウイカの習性を利用して、産卵場となる、通称「イカシバ」を編み込み、海に沈めて、カゴの中にコウイカを誘います。

原アナ
「けっこう難しい?」
孝昭さん
「とにかく難しい」
原アナ
「どのあたりが?」
孝昭さん
「ほんと操船が難しい。潮の関係もあるし、風の関係もあるし」

原アナ
「親子ケンカとかしない?」
二人
「全くない」
孝昭さん
「老いては子に従えって」
原アナ
「仲の良い秘訣は?」
晋也さん
「僕が…折り合いがいいから」
孝昭さん
「わしも折り合いがええ あはは」

操船は 父親の孝昭さんが担当します。朝6時半、出航です。

Q:漁師になったきっかけは?
孝昭さん
「中学3年を卒業して15の年かな、とにかく海が好きでたまらんかったんよ、それで漁師になろうと思った」

一方、息子 晋也さんにはこんな質問を。

Q:漁師を辞めたいと思った事は?
晋也さん
「あります。捕れないときとか、きついときとか。これでよかったんだろうかと思いますね」

勤めていた会社を辞め、後を継ぐ決心をした18年前。ただ、最盛期には3トンあった漁獲量も、去年は600キロ、今年の目標は500キロ。

約30年前、コウイカが大量に獲れてた頃は、地元漁師の多くがイカシバ漁を行っていたと言います。父・孝昭さんはもともと、海に網を仕掛けて魚を捕獲する縦網漁を行っていましたが、カゴを仕掛けた方が大量にコウイカ捕れると、その頃イカシバ漁に切り替えました。

しかし近年は水温の影響なのか、漁獲量は減り続けています。

晋也さん
「でもやっぱり朝日を浴びてね、父親と出ていくとき、やっていてよかったって思いますね。漁師のだいご味ですからね」

港からおよそ10分、漁場に到着です。

目印となるウキに結ばれたロープを専用の機械に装着し、網カゴを巻き上げます。