Q今回の判決を分析すると?
沼田弁護士
「実は結論だけ検察の主張に乗っかっただけ。検察の主張は誤振り込みであるということを入力する・知らせる構造になっていないから、そのアプリ使うこと自体が「けしからん」というものだったんですが、裁判所の判断はきめ細かく、銀行に誤振り込みであることを知らせて銀行側できちんと調査して対処する、その必要があるから、元々銀行がある程度事前に知っていたとしても、改めて田口被告自身がその入金には心当たりがあったのかなかったのか確認をする必要があるんだと。それにもかかわらず、田口被告は誤入金がわかってからアプリを使って、オンラインカジノの方に送金指示をするまでの間に、何らかの方法で銀行に知らせることはできたにもかかわらず、それをやらなかった。だからアプリの送金指示をしたという段階で、自分は正当な権限があったということを前提にした指示だ、そういう指示も含まれてますよ、という分析をして、有罪の判断をしています」
Q.なぜ執行猶予付きの判断?

沼田弁護士
「財産犯ですから何が一番重視されるかというと、財産的な損失額。被害金額の大きさが一番重視されます。動機・目的がオンラインカジノで遊ぶために金を使おうということで、犯行動機が非常によくないので、実刑方向に判断する一つの要因です」
「対してどこまでいっても財産的損失が一番重視されるということになるので、結果的に誰の金であるかは問わないけれども、阿武町の損失が全額回復できたということは無視はできない。これはかなり大きい要因です。あと今回の裁判所は、とても丁寧な審理をしたなと思います。弁護人が言っていたように事実関係を田口被告が争っているわけでもないし、田口被告が反省していないわけでもない。ただ弁護人として、法律の専門家として犯罪成立の法律判断には疑問があると、だから不利益な判断はしてくれるなということをずっと言っていたかと思うんですが、裁判所はそこはちゃんと区別をして、無罪主張があったけれど法律上の問題にすぎないから、事実関係を認めて反省の態度・言葉を述べているということは評価をした。一般論ですが前科がないので、こういった有利な情状を考えると、被害回復ができたことが大きいですから、執行猶予付きの判決ということになったと思います。ですが、執行猶予5年というのは一番長い猶予期間です。」













