山口県阿武町が誤って、1人の住民に4630万円を振り込んだ事件です。誤ったものと知りながら別の口座に振り込み不法に利益を得たとされる男に、山口地裁は28日、懲役3年執行猶予5年(求刑・懲役4年6か月)の有罪判決を言い渡しました。

この判決について、元裁判官で弁護士の沼田幸雄さんに解説してもらいます。
Q.今回の判決、どう感じた?
沼田弁護士
「妥当な判決だなと思いました。弁護側・検察側の主張をかなり丁寧に検討した、そういう印象のある判決でした」
Q.争点は「告知義務違反」があったか

今回、田口被告が問われた電子計算機使用詐欺罪が成立するための要件ですが、満たすかどうかは、弁護側と検察側で主張が違いました。今回の争点は「告知義務違反」があったかどうかですが、両者の主張は?

沼田弁護士
「検察側の主張ですが、オンラインカジノに金を送金する前の段階で、銀行に「誤振り込みの入金が資金源ですよ」ということを知らせなきゃいけなかったというものです。その送金指示に、田口被告が使った銀行のアプリは誤振り込みかどうかを入力するような構造になっていない。そういうアプリを使うこと自体が、虚偽の情報を入力したものなんだというのが検察側の主張です」

沼田弁護士
「一方弁護側は、アプリが「誤振込みの資金なんだよ」ということを入力する構造がないので、いくら銀行に知らせようとしても知らせることができない。できないものを「悪い犯罪だ、処罰する」というわけにいかないだろう。だから無罪ですよというのが弁護側の主張です」













