2019年に中原中也賞を受賞した井戸川射子さんが、第168回芥川賞に選ばれ、関係者からも喜びの声が聞かれました。井戸川射子さんは兵庫県出身で、詩の創作のほか小説も手がけます。芥川賞に選ばれたのは「この世の喜びよ」で、ショッピングセンターの喪服売り場で働く女性主人公とフードコートにずっと座っている少女の交流を描きました。
芥川賞受賞・井戸川射子さん:「まだ不思議な感じで、でもすごく、しみじみうれしい」「(受賞作に登場する)少女に詩集を薦めるなら、私の詩集の『する、されるユートピア』(中也賞受賞作)を」
芥川賞と中原中也賞の2つを受賞した作家はほかに川上未映子さんがいますが、中也賞を先に受賞したのは井戸川さんが初めてです。中原中也記念館の中原豊館長は「井戸川さんは中也賞の審査員からも期待されていた作家。中也賞で、これからも詩のジャンルに限定されない新しい才能が発掘されていくことを期待している」と喜びを語りました。