伝統的な町屋が多く残る山口県萩市・浜崎地区。情緒あるまち並みを残しながら新しい店がオープンするなど、近年話題のスポットになっています。住む人の高齢化や空き屋に悩まされてきたこの地域が変わり始めた背景には「仕掛け人」の存在があります。
「何でもないものがおもしろい」
そう話す「仕掛け人」を取材しました。

関谷名加アナウンサー:
「海からすぐの場所に立ち並ぶ伝統的な町屋の数々…歴史の趣を感じますよね。でもそれだけではありません。ここ、萩市の浜崎地区は江戸時代の風情を残しつつ、新しさも入り交じるまちなんです」
萩城下の港町として栄えた商家町、萩市浜崎地区。江戸時代の建物も含めて伝統的な町屋など138棟が残り、重要伝統的建造物群保存地区に選ばれています。そんな古き良きまち並みにここ数年、変化が起きています。

たとえば、こちらの歴史を感じさせる建物。昔は金物屋でしたが、今は…
イベントスペースになっています。

イベントを行う「源地人」手塚成美代表:
「お客さんは建物も見学しながら一緒に楽しめたので、とてもいい機会になりました」
取材したときは、萩焼でコーヒーを楽しもうというイベントを終えたところでした。
手塚代表:
「すてきなまち並みですよね、なんかもうここ通るたびに皆さんこうやってあいさつしてくださるので、交流があっていいなと思いました」
b.note新井達夫代表:
「その辺の距離感は近いよね」

浜崎地区に変化を起こした仕掛け人、新井達夫さん(55)です。鎌倉でウエディングやレストランなどを手がけるb.noteの代表で、4年前から浜崎地区でも様々な事業を展開しています。
新井代表:
「手塚さんとは最初はバーベキューを一緒に食べたんだよね。だからその6時のバーベキューはすごい大事なんですよ。もう、そこでいろんなことが起きてる」
新井さんが浜崎地区で最初に手がけたシェアオフィス、ukishimaで、新井さんが萩を訪れたときに開かれるバーベキューがきっかけでした。
新井代表:
「もともとはここと隣に昭和50年の始めぐらいの空き屋があったんですよ」
歴史ある建物・古民家と違い、昭和50年ごろの建物は「どうでもいい」と思われていると言います。
新井代表:
「まちに住んでる人たち、あなたたちがどうでもいいと思ってるものも、こんなにおもしろいものにできるんだよっていうのを、今の時代でおもしろくすると、若者が集まる場所に変わるっていうのを表現したかったみたいなのはあります」
コロナ前は、毎月、起業を志す若者の事業プレゼン会を行っていました。
新井代表:
「なんかいろんな人がごちゃまぜになって、その中で誰かと誰かがくっついて何かが勝手に生まれていったらいいなとは思っているので。いろんな人が使ってますね。まさに出会いの場ですね」
この日のバーベキューには、1998年からまち並み保存活動や観光ガイドなどに取り組む「浜崎しっちょる会」の中心メンバーも来ていました。
浜崎しっちょる会事務局 岩崎政尚さん:
「僕たちが家がどんどんどんどん朽ちていくところを、どうしようかなっていう風に悩んで眺めている時に新井さんが入ってきてくれて。それでもう4軒、5軒ですか、手がけてくれて。本当救われた気持ちですね」