戦時中に起きた、山口県宇部市の海底炭鉱・長生炭鉱が水没した事故で、犠牲になった人の遺骨を発掘し、返還しようという動きです。
活動を進める市民団体が会見を開き、地下にあるとみられる炭鉱の入り口を掘り起こす工事に着手する考えを明らかにしました。
太平洋戦争のさなか、宇部市の海底にあった長生炭鉱が水没する事故があり、朝鮮半島出身者136人を含む、183人の労働者が犠牲になりました。
その遺骨は、現在も炭鉱の中に残されたままです。
「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」は、遺骨の発掘に向けた調査を進めるため、炭鉱の入り口である「坑口」を開けることを目指しています。
地下に「坑口」が埋まっていると見られる土地は現在の所有者がはっきりしていません。
会は、この土地を宇部市が所有すべきと考えていて、坑口を明ける「開口」に向けた掘削工事を始めることに異議がないかを確認する通告書を市に提出していました。
これに対し、市は、8月下旬「隣接する土地との境界が確認できておらず、坑口の場所が判然としないため、使用許可を出せる状況にない」と回答していました。
これを受けて会では、「市の土地である可能性があり、掘削しないでほしいと主張できるのにしていないのは、事実上工事を認めている」などとし、工事に着手する考えを明らかにしました。
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会共同代表・井上洋子さん
「私たち日韓市民が一緒になって坑口を開けてここに遺骨があるよということを国に突きつけることが坑口を開けることの目的であります」
会は、10月下旬までに坑口を開けたい意向です。