ニュースカイセツです。山口市小郡地区でサルの被害が相次ぎましたが、2匹が捕獲されてからは被害が発生していません。

最初の被害が出たのは先月8日、住宅に侵入したサルが0歳の赤ちゃんを襲いました。その後もサルは網戸を開けるなどして、幼稚園や小学校、住宅などに侵入して人を襲います。2匹のサルが捕獲される先月28日までに、のべ66人が被害に遭いました。かまれたり、引っかかれたりしてほとんどが軽症でしたが、中には手の指を骨折するなど大けがをした人もいました。26日に山口農高で1匹のサルが捕獲されました。28日に2匹目のサルが捕獲されて以降被害は出ていません。
今回の野生のサルは人を襲いましたが、このほか、県内では野生動物による被害が相次いでいます。

農業への被害をみると、昨年度の被害は3億8900万円となっていますがこのうちサルによる被害は6200万円とイノシシの1億7千4百万円、シカの9千1百万円に続いています。そして816匹のサルが捕獲されています。
サルの生息状況ですがニホンザルは群れを作って生活するとされていて、個体数は2800から3700匹で群れの数は95と推定されています。今回捕獲されたサルはこの群れに属さない、「ハナレザル」と見られています。

ニホンザルの群れは「母系」といって、メスは生涯1つの群れにとどまりますが、オスは5歳から8歳で別の群れに移るなどして元いた群れを離れていきます。このとき単独で行動・生活する個体を「ハナレザル」といいます。
こうした行動について、動物の生態に詳しい県立山口博物館の田中浩学芸員に聞きました。
県立山口博物館 田中浩学芸員:
「2匹を捕獲して被害が出ていないが、終息したとみていい。60人も人を襲うのはとても珍しい。原因は分からないが、サルそのものが人に興味を持っていたか分からないが、襲うという行動になってしまった。普通は人を恐れるので、エスカレートすることがなかった。エサ目的ではなかった。サルをみたらなるべくちょっかいを出さない、人との距離を測る・野生との距離をはかればよい」