■「1600万円もらった」が独り歩き

取材の中で、男性が肉体的な痛みとともに深く心を痛めていたのが、世間に広まった「受け取ったカネ」に対する誤解だった。男性は受け取った金額が記された資料を示した。

報道などでは「町は被害者に約1600万円を支払った」とされている。TUYも町への取材から、この数字を引用してきた。「それだけもらっておきながら、さらに町を訴えるのか」と批判的なことを言う人もいたという。しかし被害男性は全く違う内実を話した。

「金額を発表する時は内訳を出してほしいと町に再三申し入れたのに、総額だけが発表されてしまった」と男性。

実は、この1600万円という金額のうち、1000万円以上は町から直接医療機関に支払われた「医療費」なのだという。

こうした事故の医療費や休業補償は、通常加害者が加入するハンター保険から支払われるのだそうだ。しかし今回は「非常勤公務員(鳥獣被害対策実施隊)の活動中」という理由で、保険会社から支払いを拒否されてしまった。