大規模な地震が発生した際に家屋の倒壊から身を守る「富山型耐震シェルター」が完成しました。住宅の耐震改修を行うよりも低コスト・短時間で設置でき、現行の耐震基準を満たしていない住宅などでの活用が期待されます。

加賀谷悠羽 記者
「築48年の家屋に設置された富山型耐震シェルターです。地震の際に、命を守る空間を確保することができます」

能登半島地震で相次いだ家屋の倒壊を受け、県木材研究所が東京理科大学と共同で開発したのが「富山型耐震シェルター」です。

地震が起きた際、この部屋に逃げ込むことで身の安全を確保することを想定しています。住宅全体の耐震改修を行うよりも低コスト・短時間で設置できるのが特徴です。

今回は、現地実証用として築48年の空き家の8畳の和室に4畳半の広さのシェルターが設置されました。

富山県木材研究所 成田英隆所長
「県産材、無垢材を多く使って、周りの室内環境と調和させるという意味合いで、落ち着いた雰囲気のシェルターに仕上がっているのではないかなと思っています」

この耐震シェルターをめぐっては、3トンのおもりを落下させて衝撃に耐えられるかどうかを確かめる実験が、実施されてきました。

1回目の実験では、屋根の強度が足りず、失敗。

その4か月後。屋根の部分に金属の角型パイプが組まれた改良版のシェルターで2度目の実験に挑みました。

実験は成功。シェルターの上部はそのまま残り、中にいる人の命を守る強度が確保でき、実用化にこぎつけました。

「富山型耐震シェルター」の価格は約120万円で、射水市と高岡市では1戸あたり最大60万円の補助が適用されます。

来月からの販売に先駆け、今月25日から31日まで一般公開される予定です。

富山県木材研究所 成田英隆所長
「1人暮らしの高齢の方は、安心できるものにならないかなと思っています。できる限り施工事例を増やして、シェルターの性能の改善、バージョンアップを図って、2号機、3号機も研究してまいりたいなと思っています」