息子が遺した「風」…母の願い

21歳で亡くなった長慧さん。その後見つかった一枚の習字です。

がんの子どもを守る会 富山支部代表
氷見三佐子さん
「どんな思いで書いたかはわかりませんが、長慧は『風』という言葉が好きでした。『翼を下さい』という歌が好きで、空っていうイメージが自分には合っていたのかなって思います」

今は風になり、空を飛んでいるのかもしれない。

風を感じると、長慧さんがそばにいるように思えるといいます。

『風』という言葉が好きだった長慧さん

がんの子どもを守る会 富山支部代表
氷見三佐子さん
「一番知ってほしいのは、小児がんの子どもたちは決して『かわいそうな子』ではないということです。余命何か月でもこうやって楽しいことがあった。前向きに生きていた。小児がんのことだけじゃなくて、命のこと。1日1日、その当たり前の生活が大事なんだよっていうことを伝えていきたいなと思っています」

【取材後記】
展示された作品には、強い筆致や鮮やかな色づかいが目立ちました。そこには、病と向き合いながらも「生きたい」という気持ちや「家族と過ごす喜び」がまっすぐに描かれていたように思います。
取材中、絵の前に立つと、子どもたちの時間が確かにここにあったのだと実感させられました。

『差別やいじめをなくし、子どもたちが少しでも生きやすい社会にしたい』

氷見さんの言葉は、その絵の力強さと重なります。小児がんと闘いながらも懸命に生きた子どもたちの姿を、より多くの人に知ってもらいたいと強く感じました

(取材:舟本真理キャスター)

絵画展は9月29日(月)まで富山市の県立中央病院で開催されています。